高齢者の就労(継続編)

基礎知識
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”この記事を書いた人”
舩津康平

理学療法士(PT)/公衆衛生系大学院

高齢者の皆様、安心して仕事を続けましょう

近年、定年となる65歳を超えても「働きたい!」と考える方は多くなっています。

実際、働く世代の人口が減っていく中で、高齢者の就労継続は社会的に大きな意義があります。

政府も就労継続を後押ししており、2021年の高年齢者雇用安定法改正では70歳までの雇用継続が努力義務になりました(参考文献・参考資料①)。

法改正によって、高齢者の方も長く仕事を続けられる環境が整いつつあります。

もちろん現職を続けられれば良いですが、長く続けるために仕事を変える選択肢もあるでしょう。

現職や転職を問わず、国は高齢者が快適に仕事を続けるために様々なサポート体制を提供しています。

この記事では、高齢者が快適に仕事を続けるためにどのようなサポート体制があるのかを中心に解説していきます。

仕事を続けるためには何をするべきか?

仕事を続けるために、まず優先すべきは健康(体力・認知機能)を維持することです。

健康を維持する行動を取った上で、もし仕事を続けたい場合、次は職場に自分の意思を相談してみましょう。

現在、仕事を継続しやすくするために高齢者雇用安定法では以下のように法改正がされております。

■ 70歳までの定年引き上げ
■ 定年制度廃止
■ 70歳までの雇用継続制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入

などの措置を企業に講ずる努力義務を新設。

高齢者雇用安定法の法改正によって、配置転換や業務内容の配慮する職場が増えてきております。

高齢者や認知症の方が就労継続した実例紹介

物流企業にドライバーとして努めていた60歳台後半の男性が、上述した支援制度を使って就労を継続できている事例があります。

こちらの方は高齢者雇用安定法に基づいた会社の配慮により、給油・洗車・自動車整備など身体的負荷の低い業務へ配置転換され、賃金や評価制度は変わりなく就労継続できています(参考文献・参考資料③)。

もう一つ、若年性認知症の方の就労継続の実例も紹介します。

業務内容の認知に不安を抱えた50歳台男性は、地域包括支援センターへの相談がきっかけで、障害者職業センターとの連携により支援を受け、可能な範囲での継続が可能となりました(参考文献・参考資料④)。

現在の仕事の継続が困難な場合は、ハローワークで相談すると良いでしょう。

雇用契約を結ばないで軽作業などの就労訓練を行える福祉サービスである、就労継続支援B型という事業所が利用できるかもしれません。

仕事を続けることは健康に良い!

現在、新型コロナウイルス感染症の影響で人と関わることが減ってしまった方もいると思います。

高齢者においては、人との関わりが減ることは健康に良くない影響を与えます。

仕事を続けることで、人との関わりが増えたり体を動かしたりする機会が増えます。

仕事を続け、人との関わりや体を動かす機会が増える結果として、様々なメリットがあります。中でも認知機能低下を防ぐ可能性があります。

もちろん、仕事を通して人の役に立つことが生きがいにもなり得るでしょう。

Well-being という言葉があるように、普段の生活で生きがいを感じることが、より良い生活を送るうえでも大切です。

仕事をしたい気持ちを諦めないようにしましょう!

今回、仕事を続けるための制度についてご紹介してきましたが、政府主導で高齢者の就労継続は応援されています。

働きたい気持ちを諦めないことが、理想的な就労継続につながると信じています。

職場関係者やハローワークなど、使える資源を利用して就労継続を叶えましょう!

【Point 1.】高齢者の就労継続は社会・個人ともに経済面で重要度が増してきている!

【Point 2.】仕事を継続するにはまず健康を保つことを優先的に考えよう!

【Point 3.】整ってきている法制度を利用するために職場に相談してみよう!


参考文献・参考資料

  1. 高年齢者雇用安定法改正の概要 (2021年09月05日閲覧)
  2. 人生100年時代に向けた 高年齢労働者の安全と … – 厚生労働省 (2021年09月05日閲覧)https://www.mhlw.go.jp › content
  3. 若年性認知症の人への支援事例 (2021年09月05日閲覧)
  4. 65 歳超雇用推進事例集(2020) (2021年09月05日閲覧)
  5. 高齢者の方へ (2021年09月05日閲覧)