【Point 1.】高齢者が使用するうえで不適切な可能性のある医薬品(PIM)の処方率に関する研究のレビューが行われた。
【Point 2.】94件の論文をまとめたところ、PIMを使用している全体の割合は36.7%であり、この20年間で増えている傾向が観察された。
【Point 3.】お薬の調整はお医者さんと相談したうえで、必要なものを飲むことを心がけよう。
自分の飲んでいるお薬が多いなと感じたことはありますか?
お薬はご自身の健康を保つのに重要ですが、たくさん飲んでしまうと様々な健康への悪影響と関連していると考えられています(ポリファーマシー)。
Tian F らによって JAMA Netw Open から報告された内容によると、高齢者が使用するうえで不適切な可能性のある医薬品(potentially inappropriate medications: PIM)の割合が、ここ20年で増加している傾向にあることが示されました。
この研究は過去に報告された論文を集積してまとめる手法(システマティックレビュー)を用いて行われ、17か国で約 3 億 7,120 万人の高齢者を含む、合計94件の論文を分析いたしました。
その結果、世界でPIMの使用率は36.7%となり、アジアでは37.2%でした。
また、PIMの使用率は80歳以上の高齢者(41.9%)やポリファーマシーな人(45.9%)で高い傾向が見られました。
一方、PIMを減らすことが効果的であると断定するにはまだ早く、お薬を調整できる十分な環境を普及させ、その効果を調べていく必要があります(参考文献・参考資料①)。
お薬の種類には様々なものがありますが、高齢者によく飲むことが多いのは痛みをコントロールする薬や血圧を下げる薬、睡眠薬などが挙げられます。
当サイトでは、痛みや血圧のコントロールに関する情報もご案内しておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
ー紹介文献情報ー
【雑誌名】JAMA Netw Open. 2023 Aug 1;6(8):e2326910.
【筆頭著者】Tian F
【タイトル】Prevalence of Use of Potentially Inappropriate Medications Among Older Adults Worldwide: A Systematic Review and Meta-Analysis
【PMID:37531105】
参考文献・参考資料