【Point 1.】1週間あたりに何回筋トレを行えば最大限の効果を得られる?
【Point 2.】トレーニング量が同じであれば1回/週も3回以上/週でも同じ効果。
【Point 3.】1週間あたりのトレーニング量を決めて、生活パターンに合った頻度を設定しよう!
過去にも1週間あたりの最も効果的な筋トレ回数は検討されているが・・・
近年、健康増進に関わるCMや広告が増えてきたことにより、筋トレへの関心が高まりつつあります。
一般的に、筋トレは回数をこなすことでより多くの効果を得られるのではないかと考えられています。
しかし、多忙なサラリーマンや主婦の方にとっては,筋トレに割く時間があまり取れないことも多いのではないでしょうか。
過去にも筋トレの頻度に着目した研究は報告されていますが、参考にした報告数が7件と少なく、明確な結論は得られませんでした(参考文献・参考資料①)。
では、時間をあまり割くことのできない人でも、果たして筋トレの効果は十分に得られるのでしょうか?
今回は、新たに論文を集めなおして、より多くの報告を総括し、最も効果的なトレーニング頻度を検討した研究をご紹介いたします。
過去の研究結果を複数の専門家・研究者が解析
今回ご紹介する研究は、質の高い複数の報告を複数の専門家や研究者が作成者となって、いくつかの基準と方法に基づいて取りまとめたシステマティックレビューと呼ばれる形式で報告されています。
また、過去に行われた複数の研究データを収集・統合し、統計的手法を用いて解析を行うメタアナリシスと呼ばれる手法も用いられました。
本研究で規定された論文の基準は以下の通りです。
■ 第三者から適切な評価(査読)を受けていること
■ 被験者をランダムに筋トレ群と対照群に振り分けていること
■ 筋トレを行った筋肉を直接比較していること
■ 筋肉の肥大、または除脂肪体重(筋肉量)を計測していること
■ 被験者が筋トレ以外の運動を行っていないこと
■ 最低6週間以上の筋トレを実施した時の効果を評価しているもの
■ 慢性的な疾患や怪我のない成人(18歳以上)を対象にしていること
また『frequency(頻度)』や『hypertrophy(筋肥大)』といった、今回の研究テーマに沿ういくつかの報告を検索し、上記の規定を満たす25件の報告が選定されました。
その後、この25件の報告を、①被験者の年齢、②頻度、③測定方法などのいくつかの項目に分類し、統計学的手法を用いて筋トレの頻度に関する検証を行いました。
1週間あたりにどれくらい筋トレすればいい?
この研究では、メインの解析として25件の報告を総括してトレーニング頻度に関する比較を行いました。
その結果、1週間のトレーニング量を統一すると、1週間あたりの頻度は筋肥大の程度に影響しないことが明らかとなりました。
ここで述べる「トレーニング量」とは、「1回のトレーニングで行う総反復回数と重量を掛け合わせたもの」と定義されています。
したがって、
① 週に1回、1日に60kgの重さで10回のスクワットを1セット行う
② 週に2回、1日に30kgの重さで10回のスクワットを1セット行う
③ 週に3回、1日に20kgの重さで10回のスクワットを1セット行う
の3つのパターンでは、どの条件でも1週間あたりのトレーニング量が等しくなることから(トレーニング量:600)、どの条件でも筋トレによる効果は等しくなることを意味します。
1週間あたりのトレーニング量を統一しない場合は?
この研究では、1週間のトレーニング量(回数×セット数×重さ)を統一しない上でのトレーニング頻度に関する比較も行いました。
その結果、1週間のトレーニング量(重さ×回数×セット数)を統一しない場合は1週間あたりの頻度が多いほど筋肥大が生じることが明らかになりました。
したがって
① 週に1回、1日に60kgの重さで10回のスクワットを1セット行う
② 週に2回、1日に60kgの重さで10回のスクワットを2セット行う
③ 週に3回、1日に60kgの重さで10回のスクワットを3セット行う
の3つのパターンでは、①の条件が最も筋トレの効果が低く(トレーニング量:600),③の条件が最も筋トレの効果が高い(トレーニング量:1800)ことを意味します。
この点は非常に重要な点であり、筋トレによる効果を大きくするためには、1週間あたりのトレーニングの「頻度」ではなく、「量」を増やすことが大切なのかもしれません。
生活パターンに合わせて1週間あたりのトレーニング量を設定しよう!
本研究では、筋トレの効果を最大限引き出すためのトレーニング頻度を、複数の報告を総括することで検討しました。
その結果、同等のトレーニング量では、頻度に関係なく筋トレの効果は等しいことに加え、効果的な筋トレを行うには『頻度』ではなく『量』に注目することが重要であることが明らかになりました。
まとめると、平日に仕事がある方などは休日に「がっつり」と、毎日少しずつでも時間が取れる方は隙間時間に「少しずつ」を意識してみると効果的に筋トレを行えるのではないでしょうか。
また、いずれのパターンでも、前週のトレーニング量を下回らないように注意しつつ、次週のトレーニングではこれまでのトレーニング量を下回らないようにプログラムを設定することが望ましいと考えられます。
さらに、筋肥大を目的とした効果的な筋トレを行うためには1週間あたりのトレーニング量を設定し、週単位で徐々にトレーニング量を増やしていく方法が有効である可能性が考えられます。
この記事が皆さんの健康や運動に対する意識を変えるきっかけになれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ー紹介文献情報ー
【雑誌名】J Sports Sci. 2019 Jun;37(11):1286-1295.
【筆頭著者】Schoenfeld BJ
【タイトル】How many times per week should a muscle be trained to maximize muscle hypertrophy? A systematic review and meta-analysis of studies examining the effects of resistance training frequency.
【PMID:30558493】
参考文献・参考資料