老衰や虚弱を指す言葉「フレイル」-実は身近な人もなっている??-

フレイル
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理学療法士

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【Point 1.】「フレイル」とは病気の有無に関わらず、歳を取るにつれて体力や回復力などが低下した状態を指す

【Point 2.】過去の研究をまとめた結果、日本人の7.4%が「フレイル」と呼ばれる状態であることが分かった

【Point 3.】「フレイル」な状態になる前に、運動を効果的に取り入れていこう

皆さんは、日本人の「フレイル」の現状をご存知でしょうか?

日本語では「虚弱、衰弱、老衰、脆弱」と訳され、歳を取るにつれて体力や回復力などが低下した状態であると言われています(参考文献・参考資料1)。

例えば、普段からあまり動かず身体が痩せてしまい、たまに動くとすぐ疲れてしまうような高齢者が、あなたの身近の方にいるかもしれません。

このような方はフレイルと呼ばれる状態にある可能性が高く、歩くのもやっとこさの状態だと思います。

この「フレイル」は下の図に示すように、「身体的フレイル」「精神・心理的フレイル」「社会的フレイル」の3つに分けられます。

フレイルの構成要素

それぞれのフレイルは、運動機能の低下や外出頻度の減少など、日常生活の過ごし方が原因となって起こるものです。

特に、ここで言う「身体的フレイル」は、サルコペニアと似た言葉であると言われています。

サルコペニアに関しては、「知っておくと便利な言葉”サルコペニア”ーその有病率は!?ー」をご参照ください。

今回ご紹介する報告は、このような「フレイル」な状態にある高齢者は日本にどのくらいいるのか?という疑問をもとに行われました。

医学文献を検索してヒットした1,529の論文から厳選した5つを用いて解析

今回の報告では、過去に報告された論文を用いて結果をまとめる手法を用いました。

その結果、日本語と英語を合わせて、フレイルに関する論文が合計1,521件ヒットしました。

その中から、検索結果が重複した論文や内容が今回の研究の目的に適さない論文を除いていき、最終的に5つの報告を用いて解析を行いました。

日本の高齢者におけるフレイルの有病率

最終的に残った5の論文で解析を行った結果、日本の高齢者の中で「フレイル」と呼ばれる状態にある人は7.4%であり、低く見積もって6%、高く見積もって9%であることが分かりました。

なお、この結果は男性と比較して、女性にて高い傾向でした。

また、75歳以上の後期高齢者において、他の国の高齢者と比較してフレイルな状態である割合が高い可能性が示されました。

フレイルの前段階である「プレフレイル」の有病率は48.1%!

さらに、フレイルの前段階と言われている「プレフレイル」の状態にある人は、日本の高齢者の48.1%にのぼることが明らかとなりました。

これは、フレイルな状態にある人の6.5倍に相当する割合となります。

フレイルから逃れるには

今回の報告から「フレイル」な状態にある人は、日本の高齢者の7.4%であることが明らかとなりました。

また、将来的に「フレイル」な状態になりやすいと考えられている「プレフレイル」な状態にある人は、48.1%であることが分かりました。

フレイルには様々な定義があり、その定義の多くは少の回復が期待できる状態(可逆的)であると考えられています。

2018年に我が国で発表されたフレイル診療ガイドによると、このような「フレイル」と言う状態にならないための予防策として、運動を行うことを強く推奨しています(参考文献・参考資料1)。

特に、今回の結果から、日本の高齢者の約2人に1人はプレフレイルである可能性が考えられます。

プレフレイルはそのままにしておくとフレイルに進行する可能性が高くなりますので、早急に対策することが望ましいでしょう(参考文献・参考資料2)。

もしかしたら、あなたの身の回りにも「プレフレイル」に該当する方がいるかもしれません。

しかしながら、負担の大きい運動をいきなり始めると、さらに状態が悪くなってしまうといった悪循環が生じる可能性があります。

どのような運動から始めれば良いのかわからないという方は、医師や専門家に相談してみるのも手段の1つかもしれません。


ー紹介文献情報ー

【雑誌名】J Epidemiol. 2017 Aug;27(8):347-353

【筆頭著者】Kojima G

【タイトル】Prevalence of frailty in Japan: A systematic review and meta-analysis.

【PMID: 28142044