足りない栄養は “おやつ” で補おう!

食事・栄養知識
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【Point 1.】毎日の食事で、たくさんの量を食べられない高齢者は多い

【Point 2.】“おやつ” を意図的に取り入れることで、栄養の状態が改善する可能性が示された

【Point 3.】あまり食欲がわかない高齢者には、食事の合間に “おやつ” を取り入れてみたら良いかも!

高齢者の食欲不振

高齢になると食欲がわかず、小食になる方が多く見受けられます。

その原因は入院生活や引っ越しといったライフイベントだけでなく、季節や気温の変化といった環境の変化も大きく関係しています。

平成22年に厚生労働省が行った国民生活基礎調査では、65歳以上の高齢者の約17%、75歳以上の高齢者の約24%に「食欲不振」を認めているという結果が示されています。

75歳以上の高齢者にいたっては4人に1人が「食欲がわかない」と悩まれているのです(参考文献・参考資料1)。

「栄養失調とフレイルはとなり合わせ??」でもお伝えした通り、食欲がわかず食事量が低下していくと、栄養不足になりフレイルなどの原因になります。

このように、健康な暮らしを続けていくためには、十分な食事をとることが必要であると言えます。

では、食欲のわかない高齢者に対して、効果的な対策方法はあるのでしょうか?

今回は、平均年齢80歳以上の高齢者を対象に、 “おやつ” を取り入れることによって栄養状態がどのように変わるか検証した報告をご紹介いたします。

平均年齢80歳以上の高齢者を対象に “おやつ” の効果を検証

この研究はホームケアを受けている85名の高齢者を対象に実施されました。

対象者はランダムに “おやつ” を意図的に摂取する群(50名)と摂取しない群(35名)に振り分けられました。

各群の対象者の平均年齢は “おやつ” を摂取する群で81歳、摂取しない群で83歳でした。

“おやつ” を摂取する群では1日3食の食事の他に、合計して14gのたんぱく質と300kcalのエネルギーを摂取できるよう、ミルクを主とした飲料やチーズ製品などを “おやつ” として摂取してもらいました。

“おやつ” を摂取することによる栄養摂取状況の変化は、MNA (Mini Nutritional Assessment) と呼ばれる指標を用いて評価しました。

こちらは対象者のライフスタイルや薬の状況、食事に対する主観的な自己評価などを複合的に調査する、栄養に関する総合的な指標です。

点数が高ければ高いほど栄養の状態が良いことを示し、30点満点中17点を下回ると栄養が足りていない状態であることを示します(参考文献・参考資料2)。

そのほかに、Body Mass Index (BMI) や身体の栄養状態を反映する指標として、血液中のアルブミンを測定しました。

BMI は「健康的な体格って??ーイギリス360万人からの報告ー」でもお伝えしたように、値が低いと栄養が足りていない状態と言えます。

アルブミンは血液中のたんぱく質の一種で、栄養・代謝物質の運搬などの働きを行います。

アルブミンもBMIと同様、値が低いと栄養が足りていない状態と言えます。

“おやつ” を摂取することで栄養状態のスコアが改善!

介入の結果、 “おやつ” を摂取した群でMNAのスコアが改善することが示され、3か月間の介入で平均してスコアが2.1点上昇しました。

30点満点のスコアで約2点上昇したことから、在宅高齢者の栄養状態を「維持」または「改善」することができる可能性があると筆者らは述べています。

身体の栄養状態を示すアルブミンの値も改善

身体の栄養状態を反映する、血液中のアルブミンの濃度の変化を調べた結果、 “おやつ” を摂取した群にて摂取しなかった群よりも栄養状態が良いことが示されました。

なお、BMIの値に関しては両群で統計学的に有意な差はありませんでした。

“おやつ” を意識的に取り入れてみては?

今回ご紹介した報告から、在宅の高齢者が3食の食事の他に “おやつ” を意図的に摂取することで、栄養の状態が良くなる可能性が示されました。

今回取り入れた “おやつ” として、高たんぱく質な食品を用いています。

高たんぱくな食品としては他に卵やささみ、豆腐などがあります。

また、高たんぱくな健康食品なども多くありますので、ご自身の口に合う食品をいくつか見つけておくと良いでしょう。

日本では、30歳以上の男性で60g/日、女性で50g/日のたんぱく質を摂取することが推奨されています(参考文献・参考資料3)。

特に3食の食事であまり食欲がわかない方や量を多く食べられない方は、食事の合間に “おやつ” を取り入れてみてはいかがでしょうか。


ー紹介文献情報ー

【雑誌名】J Nutr Health Aging. 2018;22(10):1205-1210.

【筆頭著者】Nykänen I

【タイトル】Dairy-Based and Energy-Enriched Berry-Based Snacks Improve or Maintain Nutritional and Functional Status in Older People in Home Care.

【PMID: 30498827