筋トレの極意は「引き伸ばす」??

運動知識
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【Point 1.】筋肉には、曲げるように動かす「求心性」と、引き伸ばすように動かす「遠心性」の使い方がある

【Point 2.】いくつかの報告をまとめた結果、求心性、遠心性のどちらも筋トレとして効果的であることが分かった!

【Point 3.】「求心性」と「遠心性」の両方を効率良く行うには、スクワットや階段の上り下りがオススメ!!

※ この記事は2021年2月01日に一部リライトされました。

筋トレを行う際、筋肉の使い方を意識したことがありますか??

普段何気なく行っている筋トレですが、筋肉の使い方によってその効果は異なります。

よくイメージされるのは、肘などの関節を曲げるように動かす使い方で、筋肉が縮む方向に力を入れるため「求心性収縮」と呼ばれます。

一方、関節を伸ばすように動かす使い方もあります。

これは筋肉が引き伸ばされるように使うため、「遠心性収縮」と呼ばれます。

肘を曲げて重りを持ったまま、ゆっくりと肘を伸ばしていくような動きをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。

(※関節の動きを止めておく「等尺性収縮」という使い方もありますが、今回は割愛します)

では、この「求心性収縮」と「遠心性収縮」、どちらの方が筋トレに効果的なのでしょうか??

求心性と遠心性の筋トレを比較した過去の論文を統合

この報告は、過去に発表された論文の結果をまとめる手法を用いました。

はじめに、求心性収縮を用いた筋トレと遠心性収縮を用いた筋トレを比較した論文を検索し、全部で1,131本の論文が見つかりました。

そのうち、今回の研究に関係がありそうな37本の論文を読みました。

この際、英語で記載されていない論文、6週間以上筋トレを行っていない論文、双方の筋トレ効果を直接比較していない論文などは除くことにしました。

そのうえで、最終的に15本の論文を用いて、求心性収縮を用いた筋トレと遠心性収縮を用いた筋トレの効果の差を検証しました。

検証の際、効果は統計学的に調整された値(Effect Size)を用いました。

統計学的に差はないが…

検証の結果、求心性収縮を用いた筋トレと遠心性収縮を用いた筋トレで、統計学的に差はありませんでした(Effect Size:0.25±0.13,95%信頼区間:-0.03~0.52)。

しかしながら、遠心性収縮を用いた筋トレを行った際の筋肉の平均変化率(10.0%)は、求心性収縮を用いた筋トレを行った際の筋肉の平均変化率(6.8%)と比較して筋肥大しやすい傾向にあることが分かりました。

筋トレの際には筋肉の使い方を気にしてみよう!

本記事では、筋肉の使いかたによって筋トレ効果に差があるかどうか調べた報告をご紹介しました。

結果として、求心性収縮と遠心性収縮のどちらを用いても効果的ですが、遠心性収縮を用いた方が筋肉がつく可能性が示されました。

しかし、この報告で用いられた過去の論文は全て若い方を対象としていますので、中高年の方に当てはまる結果か否かは慎重に解釈すべきでしょう。

この報告の結果から筆者らは「求心性収縮および遠心性収縮の両方を含めた筋トレを行う事が重要だと思われる」と述べています。

では、実際に求心性収縮と遠心性収縮の両方を含めた運動とは何があるのでしょうか??

その場で簡単に出来る筋トレとして「血糖コントロールは将来の運動能力に影響する?!-フィンランドからの報告-」でご紹介したような椅子からの立ち座り運動やスクワットが代表的です。

おしりの筋肉(大殿筋)や太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)に着目すると、身体をかがめる時は遠心性収縮、身体を起こす(立ち上がる)時は求心性収縮となります。

日常生活では、階段の上り下りなどが良い例でしょう。

階段をのぼる時は太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)を求心性に用いますが、階段を降りる時はこの筋肉が遠心性に働きます。

このとき注意して欲しいこととして「動作をゆっくり行う」ことが挙げられます。

スクワットで身体をかがめる時や階段を降りる時に重力を使って勢い任せに行ってしまうと、あまり効果が得られないのでご注意ください。

筋トレや運動を行う際に筋肉がどのように使われるのか、イメージしてみるとその効果も得られやすくなるかもしれませんね。


ー紹介文献情報ー

【雑誌名】J Strength Cond Res. 2017 Sep;31(9):2599-2608.

【筆頭著者】Schoenfeld BJ

【タイトル】Hypertrophic Effects of Concentric vs. Eccentric Muscle Actions: A Systematic Review and Meta-analysis.

【PMID: 28486337