フレイルな高齢者が気を付けるべき「新型コロナウイルス対策」とは

フレイル
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【Point 1.】新型コロナウイルスの蔓延に伴い、外出を控えた自粛生活が推奨されている

【Point 2.】自粛生活で身体を動かす機会が減ってしまうと、「フレイル」な状態に陥りやすくなるかもしれない

【Point 3.】標準予防策を徹底したうえで、自宅内でできる体操や友達との交流などを心がけてみよう

先の見えない自粛生活

この記事は新型コロナウイルスの影響により、外に出る機会が減ってきている方へのメッセージです。

外出の機会が減り、身体を動かすチャンスが少なくなってくると、身体はどんどんと弱っていってしまいます。

特に、高齢者においては著しく筋力や体力が衰えてしまう場合もあります。

自粛生活が続く今、ご高齢の方はどのように過ごしていくのが良いのでしょうか?

この記事では2020年3月に日本老年医学会が提示した「新型コロナウイルス感染症」 高齢者として気をつけたいポイント(参考文献・参考資料1)をもとに、高齢者の日々の生活に着目したポイントをお伝えいたします。

まずは、フレイルかどうかをチェック!

自粛中の生活に関するポイントをお伝えする前に「フレイル」という概念について簡単にご説明いたします。

フレイルとは、歩くことや身の回りのことなど生活動作が行いにくくなったり、疲れやすくなったりした状態のことを指します。

詳しくは以下の記事を参照してみて下さい。

このフレイルには加齢など様々な原因があり、「動かないこと(生活不活発)」によって進行するケースも少なくありません。

このフレイルな状態がさらに進行してしまうと、病気になったときの回復が遅れてしまい、死亡のリスクが高くなってしまうことが報告されています。

しかしながら、2020年4月1日現在、コロナウイルスにおける「フレイルの影響」に関する報告は少なく、WHO(世界保健機関)も明確な対策案を打ち出せておりません(参考文献・参考資料2)。

ただし、高齢な人ほど重篤な状態になりやすいというデータはありますので、フレイルが進行している人ほど新型コロナウイルスに感染した際に重篤な状態になりやすいのではないかと、私は予想しております。

つまり、コロナウイルスへの感染を恐れて多くの時間を自宅で過ごし、「動かないこと」で健康状態へ影響を及ぼす可能性があり、自粛生活中でもこまめに身体を動かすことが大切と言えるでしょう。

この「フレイル」かどうかの判断基準は非常に多くあり、一概には言えませんが、とりわけ簡単な判断基準として “歩き方” があります(参考文献・参考資料3)。

この判断基準に基づくと、杖を使って歩く分にはまだ「フレイル」な状態ではありませんが、歩行器やシルバーカーを使って歩いている場合や歩けないような状態だと「フレイル」と判断されます。

臨床フレイルスケールの一部
(図:(参考文献・参考資料3)より編集部改変)

では、この「フレイル」にならないために自宅で自粛生活を続けながらできることは何かあるのでしょうか?

もしくは、これ以上「フレイル」な状態を進行さないために、自粛生活中に気を付けるべきことはあるのでしょうか?

まずは皆さんに共通している「感染症対策」で気を付けるべきことについてお伝えいたします。

気を付けるべきこと

新型コロナウイルスをはじめ、多くの感染症にはやはり「手洗い/うがい」といった標準予防策が有効だと言われています。

そのうえで、「密室な空間」や「密集した場所」、そして「密接した距離での長時間の会話」の3密を避けることが現時点では有効であるとされています。

合わせて、誰が新型コロナウイルスに感染しているか分からないような現在の状況においては、外出の際に「マスク」をなるべく着用しておくことが望ましいでしょう。

屋内では定期的に「換気」をすることが大切です。

窓がない部屋では、扇風機や換気扇を活用してみて下さい。

このような新型コロナウイルスを含む「感染症対策」を行ったうえで、次にお伝えする「フレイル対策」を実行してみましょう。

フレイル対策のポイント

日本老年医学会では先の見えない自粛生活において、フレイルの進行を予防するために以下のようなポイントを挙げています(参考文献・参考資料1)。

  • 動かない時間(座っている時間)を減らす
  • 自宅でできるちょっとした体操を行う
  • しっかり食べて栄養をつけ、バランスの良い食事を取る
  • お口を清潔に保つ
  • できれば毎日誰かとおしゃべりをする
  • 家族や友人との支え合いが大切

これらはいずれも、フレイル対策としてとても重要です。

中でも、新型コロナウイルスをはじめとする感染症対策を意識したうえでとりわけ重要な項目を、今回ピックアップしたものと思われます。

「できれば毎日誰かとおしゃべりする」といった項目は一見、前述した3密を無視した内容にも思えます。

しかしながら、きちんと距離を取り、たがいに感染症対策を十分に行ったうえであれば、短時間でもおしゃべりをすることは健康に有効であると言えるでしょう。

この点は⽇本⽼年学的評価研究(GAGES)から報道発表された研究のまとめでも「社会に参加しない、社会的孤立、閉じこもりが高齢者の健康を損なう」と、強く訴えております(参考文献・参考資料4)。

そのうえで、これらの項目を意識し、「継続」することがとりわけ大切です。

残念ながら感染症対策も、フレイル対策も、三日坊主ではあまり効果はありません。「継続」するための工夫は非常に多くありますので、ご自身の中で継続しやすい手段や方法を模索してみてください。

ここでは以下に、継続して行うための私からの提案を何点かお示しします。

  • 「〇〇のときにする」と決める(例:食事のときに手を洗う…他)
  • 1日の中でまとまった時間を確保する(例:朝食後に20分体操する…他)
  • 体操/運動の記録をつけてみる(例:血圧手帳の余白…他)
  • 自分が今取り組んでいることを誰かに話す(例:友人との会話…他)
  • 天気や曜日に合わせて行動する(例:晴れの日は必ず外にでる時間を作る…他)

おうちでできること

先ほどお伝えしたフレイルの判断基準で「フレイル」に該当された方は特に、お身体の体調に合わせてムリなく行ってください。

運動の内容はラジオ体操やNHKで放映されている体操でも十分です。

他にも、インターネットで検索をすれば、いろいろな運動が紹介されています。

ご自身にあった運動を探してみるのもよいでしょう。

また、テレビで天気予報やCMになったタイミングで椅子から立ち上がり、足踏みを行うといった心がけも大切です。

できるだけ座っている時間を減らすように努めてください。

スクワットなどのレジスタンストレーニングも有効です。

できる方は階段や上がり框などの段差を使った中等度の運動を行うのも良いでしょう。

天気が良ければ散歩はオススメです。ただし、人混みは避けましょう。

孤独を防ぐことが重要!

先ほどお伝えしたように、高齢者では人との交流がとても大切です。

外出しにくい今の状況であるからこそ、家族や友人が互いに支え合い、意識して交流してみましょう。

ちょっとした挨拶や短時間の会話でも構いません。

電話やメール、SNSなどのインターネットを使った交流も良いでしょう。

新型コロナウイルス感染症に関する正しい最新情報の共有も、トラブルや不安の解消にもつながります。

合わせて、食材や生活用品の買い物、病院への移動などに困った際に、助けを呼べる相手をあらかじめ考えておきましょう。事前に家族や身内の方々と話し合っておくことが大切です。