健康のためにはどんな運動をすればいい?ーアメリカのガイドラインよりー

運動知識
この記事は約6分で読めます。
”この記事を書いた人”
山下真司をフォローする

【Point 1.】健康のためには運動が大切だけど、具体的にどんな運動をすればいいか分からない方必見!

【Point 2.】今回はアメリカで推奨されている「健康のために必要な運動」をご紹介!

【Point 3.】日本人も自分が運動するときの参考にしよう!

健康のためには運動が効果的

アメリカ人が早死する原因の10%は運動不足によるものとされています。

また、アメリカ人の約80%が運動不足であることが分かっています。

そのため、アメリカでは国民の運動不足を解消するために、運動を促すガイドラインというものが2018年に発行されています。

今回は、アメリカの運動ガイドラインに書かれている、運動がもたらす健康利益や健康のために必要な具体的な運動方法と運動量をご紹介します。

運動がもたらす健康利益

ガイドラインでは科学的に実証されている「定期的に運動することがもたらす健康への利益」について記しています。

その一部をまとめてみました。

運動がもたらす健康への利益
  • 死亡・心臓病・脳卒中リスクの減少
  • 認知機能の向上/認知症のリスク減少
  • 生活の質/睡眠の質の向上

死亡・心臓病・脳卒中リスクの減少に関しては「運動量を確保できてれば心血管疾患を25%も抑制?!ー高所得国での効果は絶大ー」などでもご紹介したように、みなさんもご承知のことかと思います。

認知機能の向上/認知症のリスク減少に関しては「心肺機能が衰えると認知症になりやすい?!」でご紹介したようなポジティブな結果も多く見られますが、一方で「運動不足と認知症と心臓病ー40万人のデータをまとめた最新の報告ー」でご紹介したように直接的な関連はないとする報告も確認されています。

運動の種類

運動といってもその種類はさまざまです。下記に運動の種類とその特徴を簡単にまとめてみました。

有酸素運動

全身を持続的に動かして心肺機能を改善させる運動(早歩き、ランニング、サイクリングなど)

筋トレ

骨格筋力や持久力を高めたり筋肉量を増やしたりする運動
例:スクワット、重量挙げ、重錘を使った運動

骨強化運動

骨の成長を促進すると共に骨の強度を上げる運動
例:縄跳び

バランス運動

転倒を予防するための運動
例:後ろ歩き

複合的な運動

有酸素運動や筋トレ、バランス運動など、2種類以上の運動を組み合わせた運動
例:ダンス、スポーツ

高齢者に必要な運動強度・運動量は?

運動をするためには、運動のキツさ(運動強度)を決める必要があります。その運動強度には絶対的運動強度相対的運動強度というものがあります。

以下にこの2つの意味をご紹介します。

絶対的運動強度

個人の体力などを考慮せずに設定されている運動強度を指します。

「〇〇の運動には一般的に〇〇カロリーの消費量がある」などのように表されるものです。

通常、METs(メッツ)という単位で表されています。

METsは「運動不足を改善すると体力だけでなく心臓の機能も改善する?!ー2年間の検証からー」でもご紹介したように、安静状態 (何もせずに椅子に座っているだけの状態) と比較して、運動や活動を行った際に何倍の代謝(カロリー消費)をしているかを表しています。

例えば、「歩く」は2.5METsであり安静時の2.5倍のエネルギー量があることになります。(参考文献・参考資料1

相対的運動強度

個人の体力(心肺機能)を考慮して設定される運動強度を指します。

運動時の心拍数や酸素摂取量、自覚的な疲労度などを使って決められる強度です。

では、どんなポイントに気をつけて運動すればいいでしょうか?

「高齢者が定期的に運動すると運動機能は良くなる??ー28の論文からー」の中でご紹介したWHOが推奨する運動目標でもいくつか重要なポイントがありましたが、この米国ガイドラインが推奨する「高齢者向け」の運動目標は少し異なっています(参考文献・参考資料2)。

「高齢者向け」の運動目標

運動強度

自分の体力に合わせた運動強度が望ましい。

青壮年と同様の運動強度で行えれば良いですが、心臓病や腎臓病などの持病を有する高齢者は必ずしも青壮年と同じ強度で行う必要はありません。

運動量

少なくとも週に150分の中強度の複合的な運動が望ましい。

先程ご紹介した有酸素運動やバランス運動などを組み合わせた複合的な運動を行うことが高齢者においては推奨されています。

持病がある人の場合は上記の時間で運動することが難しい人もいます。

そのため、自分の体調や併存症と相談しながら可能な範囲で少しでも運動することが大切です。

WHOが推奨するような青壮年への運動目標値は高齢者にも当てはまりますが、高齢者の場合は自分の体の状態(病気や怪我など)に十分に配慮した目標を立てる必要があります。

日本人も運動不足

今回はアメリカ人に向けた運動ガイドラインをご紹介しました。

「アメリカ人を対象にしているから、運動のことは日本人には関係ないのでは…」と考えていませんか?

そんなことはありません。

先日ご紹介した「日本は世界の中でも活動量が少ない国!?」では、日本人の女性の3人に1人、男性の4人に1人が運動不足であったことを紹介しています。

つまり、アメリカと同様に日本も運動不足の人が多い国なのです。

今回の運動ガイドラインの推奨事項は、日本人にとっても達成しやすい目標です。

皆さんも健康で長生きするために参考にしてみてはいかがでしょうか?


ー紹介文献情報ー

【雑誌名】JAMA. 2018 Nov 12.

【筆頭著者】Piercy KL

【タイトル】The Physical Activity Guidelines for Americans.

【PMID: 30418471