【Point 1.】定期的なスポーツは体力や記憶力の維持など、様々な効果があると言われている
【Point 2.】ゴルフを半年間続けると、物語などを記憶する「論理的記憶能力」が改善する可能性が示された
【Point 3.】スポーツを通じて多くの人と交流できる機会を作ってみよう!
老若男女問わず楽しめるゴルフ
年をとっても楽しめるスポーツと言えば、真っ先にゴルフをイメージする方もいらっしゃるかと思います。
以前、「今年定年を迎える父にオススメしたい!ー健康に良いスポーツ5選ー」では、ゴルフをプレーすることではなくゴルフを「観戦」することで、適切な運動量を確保できることをお伝えしました。
では、ゴルフを「プレイヤー」として参加すれば、どのようなメリットがあるのでしょうか?
今回は「認知機能」に着目して、ゴルフの効果を検証した報告をご紹介します。
半年間ゴルフをやった前後で認知機能を評価
この研究では、対象者106名をランダムに2つのグループに分けて行われました。
- ゴルフ未経験者が約半年間のゴルフトレーニングを行うグループ
- 健康教育を行うグループ
運動による効果は様々なものが言われていますが、今回は「認知機能」に着目してその効果を検証しました。
認知機能の検査には一般的に広く用いられている認知機能指標(MMSE)と、タブレット端末を用いて簡便に行える認知機能検査(NCGG-FAT)を使用して、研究開始前と研究後にそれぞれ評価しました。
ゴルフをした方が認知機能に効果的?!
解析の結果、健康教育を行ったグループと比較して、ゴルフを行ったグループの方が約半年後の論理的な記憶力が改善することが明らかとなりました。
この結果は様々な記憶力のなかでも、すぐに思い出すための記憶力(即時再生)、後から思い出すための記憶力(遅延再生)、その両者を兼ね合わせた記憶力(即時+遅延再生)でも同様でした。
それ以外の認知機能には効果なし??
この研究では論理的な記憶力の他に、認知機能の指標として言葉(単語)の記憶や注意力を確認しましたが、研究開始前と研究終了時で統計学的に明確な差は見られませんでした。
また、握力の変化なども同時期に確認しましたが、こちらも開始前と後で明確な変化はありませんでした。
ゴルフを通して得られるものは??
今回ご紹介した報告から、ゴルフは物語などを記憶する論理的な記憶力の改善に効果的である可能性があることが示されました。
ゴルフは様々なルールに則してプレーすることやフォームの修正、スコアの管理など、あらゆる場面で論理的な思考が必要となります。
また、定期的にイベントなどを開催することで外出する機会も増え、他人との交流の機会も増えていきます。
「心肺機能が衰えると認知症になりやすい?!」では、心肺機能が落ちると認知症になりやすい可能性をお伝えしました。
運動による身体機能への効果は当サイトでもお伝えしていますが、このようなスポーツは認知機能への効果もあり、認知症の予防に繋がるのかもしれません。
また、今回ご紹介した報告では、これまでゴルフをやったことない方を対象としています。
ゴルフは十分な活動量も確保できることが言われていますので(参考文献・参考資料1)、運動をしたことがないという方はこの機会にゴルフを始めてみても良いかもしれませんね。
ー紹介文献情報ー
【雑誌名】J Epidemiol Community Health. 2018 Oct;72(10):944-950.
【筆頭著者】Shimada H
【タイトル】Effects of golf training on cognition in older adults: a randomised controlled trial.
【PMID: 29936419】