日本人の痩せすぎの目安はどのくらい?

食事・栄養知識
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管理栄養士(RD)

【Point 1.】身長と体重から、今の自分の正しい体格とその目安を確認してみよう!

【Point 2.】自分の体格が引き起こす今後のリスクについて知り、できる対策を実践してみよう

【Point 3.】定期的に体重を測定し、自身の体格の変化をモニタリングしよう

皆さんはご自身の体格を正しく把握できていますか?

「太りすぎはダメ」とか「痩せすぎは良くない」など、なんとなくのイメージはあるかと思います。

しかし、実際にはご自身の年齢や健康状態によって健康的な体格は若干異なるのです。

実は「身長」と「体重」の2つだけでご自身の体格に関する色々な情報が手に入ります!

そこで今回は、ご自身の体格を確認する方法と、その目安をご紹介いたします。

また、この記事の後半では「痩せすぎ」の情報に着目して、どのように対策すべきかご紹介いたします。

この記事を通して、ご自身やご家族といった身の回りの方の体格を今一度チェックしてみてはいかがでしょうか?

健康的な体格の確認方法とその目安は??

まずはじめに、ご自身の体格を簡単に確認してみましょう。

今回は体格を確認するうえで最も簡単な方法である、BMI (Body Mass Index) をご紹介いたします。

これは「身長」と「体重」を用いて算出することができます。

もしかしたら、学校や職場での健康診断で見たことがあると思います。

計算式は以下のようになります。

[BMI (kg/m2)] = [体重 (kg)] ÷ [身長 (m)の2乗]

BMIは「健康的な体格って??ーイギリス360万人からの報告ー」でもご紹介したように、健康的な体格を判断するうえでとても有用です。

BMIはいろんな場面で用いられ、目安となる値も様々です。

ここではその一例として、厚生労働省が5年ごとに更新している「日本人の食事摂取基準(2020年版)」から、目標とするBMIの範囲の目安を確認してみましょう(参考文献・参考資料2)!

【目標とするBMIの範囲(18歳以上、男女共通)】
  • 18~49歳: 18.5~24.9 (kg/m2)
  • 50~64歳: 20.0~24.9 (kg/m2)
  • 65歳以上: 21.5~24.9 (kg/m2)

この数値を下回ると「低体重」、上回ると「肥満」となります。

これを見ると、歳を重ねるごとに目標とする体格の下限が18.5 (kg/m2) から 21.5 (kg/m2) へと徐々に高くなっていくことが分かるかと思います。

一方で、BMIの上限は年齢によらず25.0 (kg/m2) となっております。

ではなぜ、このような基準を設けたのでしょうか?

歳をとるほど痩せすぎはフレイルへと進行する?!

歳を重ねるごとにBMIの下限が変わっていく理由は、おおきく次の3つにまとめることができます。

  • 痩せすぎは運動不足と関連する
  • 痩せすぎはフレイルに繋がる
  • 年齢を重ねるごとに身長が縮んでしまう

以下に、平成29年度における国民健康・栄養調査の結果の一部をお示しいたします(参考文献・参考資料3)。

各年齢層における身体活動レベルの低い人の割合
参考文献・参考資料3より編集部作成)

この画像を見てみると、いずれの年齢層においても、低体重の人は一貫して普通体重や太りすぎの方よりも身体活動レベルの低い人(運動不足な人)の割合が多いことが分かります。

このような傾向が見られた1つのポイントとして、低栄養とフレイルの関係が考えられます。

普段から摂取している栄養が足りていないと次第に痩せてきてしまい、虚弱や衰弱を意味する「フレイル」な状態へと近づいてしまうのです。

フレイルな状態になると死亡や要介護のリスクが高くなると言われています。

この関係をさらに詳しく知りたい方は「栄養失調とフレイルはとなり合わせ??」をご参照ください。

ご自身やご家族の体格を見定めるうえで、この視点は大切になってくるでしょう。

歳を重ねるごとに、「痩せすぎ」の危険性は高まっていきます。

また、歳を重ねるごとに背筋が丸まってきたり、背骨の間にある椎間板と呼ばれるクッションのようなものが小さくなってきたりすることで、身長が縮んでいきます。

アメリカで行われた研究では、30歳ごろから身長が縮み始め、男性で70歳までに約-3cm、女性で約-5cm縮むと言われています(参考文献・参考資料4)。

身長が縮んでしまうと、同じ体重だとしてもBMIの値が大きくなってしまいます。

例)体重 60 (kg) の男性が 165 (cm) から 162 (cm) に縮んだ場合
BMI:22.03 → 22.86 (kg/m2)

したがって、若い人と比較して高齢では「痩せすぎ」の定義を厳しく設定する必要があるのです。

少しでも痩せすぎによる危険性を和らげるのに役立つ食品をご紹介!

では、「痩せすぎ」に対してどのような対策をすればよいのでしょうか?

痩せすぎの方はフレイル予防を中心とした対策を心がけると良いでしょう。以下に、具体的な例をお示しいたします。

【痩せすぎの場合】
  • 間食の質を変えてみよう!
  • 肉類を積極的に摂ってみよう!
  • 定期的な運動を心がけてみよう!

足りない栄養は “おやつ” で補おう!」でもご紹介したように、間食はご高齢の方に効果的である可能性が示されています。

もし普段から間食を取られる方は、内容をたまごやナッツ類に変えてみると良いでしょう。

たんぱく質が豊富なうえ、実はナッツ類はたんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが非常にバランスよく含まれていて、これがたんぱく質などの重要な栄養素を身体に吸収するのを助けてくれるのです。

合わせて、お肉を積極的に摂るよう心がけましょう。

太ることを気にして控えている「お肉」はたんぱく質が豊富に含まれています。

フレイル対策で重要な筋力や筋肉量の維持には、たんぱく質が欠かせません!

なお、食生活に合わせて、少し身体に負荷を加えた運動を行うことを意識しましょう。

これは先ほどお示ししたデータ(平成29年度における国民健康・栄養調査)からもわかるとおり、痩せすぎの方は身体活動レベルの低い人の割合が多いのです。

まずは普段よりもプラス10分、身体を動かしてみましょう。

急激な体重の変化にも気を付けよう!!

この記事では、ご自身の体格を把握する方法やその目安、さらにはその対策方法までお伝えしてきました。

最後に皆様へのメッセージとして、急激な体重の変化には気をつけましょう。

3か月~6カ月といった比較的短い期間で意図せず2~3 (kg) 以上体重が減少した場合、「低栄養状態」や「フレイル」に近づいている可能性があります。

一方、1~2週間の間に2 (kg) 以上体重が増えた場合、過度に身体がむくんできている可能性があります。

このむくみは「心不全」などの病気を早めに見つける目安の1つとなっています。

まずは、ご自身や身の回りの方の体格をきちんと把握すること。

加えて、急激な変化がないかどうか定期的に体重を測定すること。

そして、急激な体格の変化を予防するために日々の食事や運動といった生活習慣を工夫すること。

ご自身の健康を管理するうえで、少しでもヒントが得られれば幸いです。