おやつに!料理に!ナッツを食べるメリットと食べ方のコツ

食事・栄養知識
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ナッツを食べる習慣はありますか?

スーパーやコンビニで手軽に購入できるナッツ。

「ナッツが健康に良い」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

ナッツ類には様々な種類があり、それぞれの栄養価の違いを知ることで、栄養素を効率的に摂ることができます。

そこで今回は、ナッツ類に期待できる「健康作用」と「食べ方のコツ」をご紹介します。

ナッツ類に期待される健康作用

ナッツ類の摂取による健康作用については、次のような報告がされています。

■ 糖尿病を患った方において、HbA1cおよび空腹時の血糖値の低下(参考文献・参考資料①~③

■ 血中の脂質の改善 (参考文献・参考資料③、⑥

■ 心臓病の発症リスクを下げる可能性(参考文献・参考資料②~⑥

これらの作用には、ナッツ類に含まれている多価不飽和脂肪酸や食物繊維、ミネラルなどが関与しているのではないかと考えられています。

では、ナッツに含まれる栄養素について、もう少し詳しく見てみましょう。

ナッツ類に含まれる主な栄養素

一般的にナッツ類にはアーモンド、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ピーナッツ、くるみなどが含まれ、次の表に示すように栄養価は種類によって異なります。

(参考:参考:日本食品標準成分表(八訂))

ナッツ類にはさまざまな種類がありますが、共通して多く含まれるのがミネラルです。ミネラルは、加齢に伴って筋肉量が減ってしまう状態であるサルコペニアと関連することが報告されています。

実際に、ナッツ類には高齢者において重要なミネラルであるマグネシウムが多く含まれています。

マグネシウムは、筋肉の収縮や神経情報の伝達に役立つほか、骨の形成にも関与しています(参考文献・参考資料⑦、⑧)。

その他にも、ナッツ類には食物繊維や多価不飽和脂肪酸などが多く含まれます。

それぞれの作用は次の通りです。

■ 食物繊維

 血糖値の上昇抑制、血中コレステロール濃度の低下、腸内の善玉菌を増やし腸内環境を整える働き(参考文献・参考資料⑨)。

■ 多価不飽和脂肪酸

 n-3系とn-6系に分けられる。ナッツ類に多く含まれるのはn-6系、くるみにはn-3系も多く含まれる。

 - n-3系多価不飽和脂肪酸

   中性脂肪の低下や総コレステロールの低下といった、血液内の脂質を改善させる作用(参考文献・参考資料⑩)。

  「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では、動脈硬化による病気の予防のために、危険因子の一つで脂質異常症を改善する食事として「n-3系多価不飽和脂肪酸の摂取を増やす」との記載があります(参考文献・参考資料⑪)。

 - n-6系多価不飽和脂肪酸

   n-6系多価不飽和脂肪酸の一種であるリノール酸は、中性脂肪やLDLコレステロール低下作用を有する(参考文献・参考資料⑫、⑬)。

では、メリットの多いナッツをどのように食べれば良いのでしょうか?

毎日の生活に取り入れてみよう

< エネルギー補給に! ~間食で摂る~ >

当サイトの「足りない栄養は “おやつ” で補おう!」でもご紹介しているように、1日3食の食事で必要な栄養素を補えない場合は、間食を摂るのも一つです。

そこで、手軽に多くの栄養素を補えるナッツがオススメです。

ナッツは上記の栄養素以外に脂質も多く含むため、エネルギーを効率的に補うことができます。

ビタミン、ミネラルの補給に! ~料理に取り入れる~ >

いつもの料理にナッツ類をプラスしてみましょう!

そのまま砕いて使うのもよいですが、から煎りして使うことで香ばしさがプラス。

薄味の料理でも美味しく食べられ、減塩も手助けしてくれます。

【調理例】
■ 砕いたナッツを和え物に混ぜる
■ 調味料と合わせて、ソースやドレッシングにする
■ サラダやヨーグルトにトッピングする

1日にどのくらい食べればよいの?

ナッツ類は脂質を多く含み、エネルギー量が高い食品の一つです。

一般的に、間食は1日200kcal程度が適量とされています。

間食で摂る場合は、食べ過ぎを防ぐためにパッケージに記載されている「栄養成分表示」を確認しましょう。

ただし、疾患をお持ちで、医療機関において主治医や担当管理栄養士から食事の指示を受けている場合は、そちらに従ってください。

スーパーやコンビニには様々な商品が並んでいますが、素焼きのタイプや食塩無添加のものがオススメです。

基本は、栄養バランスの整った食事

多くの研究でナッツ類の摂取と疾患の関連について報告がされている一方で、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」では「ナッツ類の摂取と動脈硬化による病気の予防に関して、わが国におけるエビデンスは十分でない」との記載があります(参考文献・参考資料⑦)。

健康の維持・増進のためには、以下の2点を意識していただきたいと思います。

① 1日3回、主食(ご飯・パン・麺類など)・主菜(肉・魚・卵などのおかず)・副菜(野菜・海藻・きのこなどのおかず)のそろった食事を摂る

② 1日1回どこかの食事で乳製品・果物を摂り、体に必要な5大栄養素(たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)や食物繊維を補給する

これらは、健康的な食事をする上での基本となります。

栄養バランスの整った食事に、今回ご紹介したナッツを取り入れてみてはいかがでしょうか。

【Point 1.】ナッツ類の摂取は生活習慣病リスクを下げてくれる

【Point 2.】ナッツの種類によって栄養価は大きく異なる

【Point 3.】エネルギー量が多い食品であるため、食べ過ぎには気を付けよう!


参考文献・参考資料

  1. Viguiliouk E, et al. Effect of tree nuts on glycemic control in diabetes: a systematic review and meta-analysis of randomized controlled dietary trials. PLoS One. 2014 Jul 30;9(7):e103376.
  2. Blanco Mejia S, et al. Effect of tree nuts on metabolic syndrome criteria: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ Open. 2014 Jul 29;4(7):e004660
  3. Lee-Bravatti MA, et al. Almond Consumption and Risk Factors for Cardiovascular Disease: A Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials.Adv Nutr. 2019 Nov 1;10(6):1076-1088
  4. Becerra-Tomás N, et al. Nut consumption and incidence of cardiovascular diseases and cardiovascular disease mortality: a meta-analysis of prospective cohort studies. Nutr Rev. 2019 Oct 1;77(10):691-709.
  5. Nut Consumption in Relation to Cardiovascular Disease Incidence and Mortality Among Patients With Diabetes Mellitus | Circulation Research(2023年02月10日閲覧)
  6. Nut consumption and blood lipid levels: a pooled analysis of 25 intervention trials(2023年02月10日閲覧)
  7. マグネシウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)(2023年02月10日閲覧)
  8. 厚生労働省eJIM | マグネシウム | サプリメント・ビタミン・ミネラル | (2023年02月10日閲覧)
  9. 食物繊維の必要性と健康 | e-ヘルスネット(厚生労働省)(2023年02月10日閲覧)
  10. Juntendo Medical Journal (2023年02月10日閲覧)
  11. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版【日本動脈硬化学会】(2023年02月10日閲覧)
  12. 医療関係者の方へ | 「統合医療」情報発信サイト(2023年02月10日閲覧)
  13. jstage 糖尿病.2000年 43 巻 12 号 1019-1021 (jst.go.jp)(2023年02月10日閲覧)