食欲がなく痩せ気味…どんなたんぱく質を補えばよい?

食事・栄養知識
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食欲がない方も毎食摂ってほしい「たんぱく質」

食事がどうしても進まない。

料理はつくったけど食べる気にならない。

食が細くなって身体がやせ細ってきた気がする。

このように、食事を摂ることがなかなかできないと悩まれる方も少なくないでしょう。

この記事では、そのような方々に向けて、たんぱく質を摂取することの大切さやその目安、食事の工夫などをご紹介していきます。

たんぱく質摂取の大切さ

たんぱく質とは、筋肉など身体を作るために必要な栄養素であり、当サイトでもその大切さについて紹介しています。

また、筋肉以外にも酵素やホルモン、免疫物質としてさまざまな機能を担っています(参考文献・参考資料①)。

そのため、たんぱく質やエネルギーが不足し痩せてきてしまうと、免疫力や身体機能が低下することが考えられます(参考文献・参考資料②)。

食欲がなく食事量が少ない方や、あっさりした口当たりの良いものばかり食べてしまう方は、たんぱく質が不足しているかもしれません。

では、具体的にたんぱく質はどの程度摂取するのが望ましいのでしょうか?

たんぱく質摂取量の目安

18歳~64歳の男性で65g/日、65歳以上の男性で60g/日、18歳以上の女性で50g/日のたんぱく質を摂取することが推奨されています(参考文献・参考資料③)。

たんぱく質は肉、魚介類、卵、乳製品などの動物性の食品に豊富に含まれています。

植物性の食品の中では、大豆製品は「畑の肉」と呼ばれるほど、たんぱく質を豊富に含んでいます。

これらのたんぱく質が豊富な食品を、毎食1品以上取り入れましょう。食品の大きさの目安は、手のひらの指を除いた大きさ・厚さを参考にしてみてください。

当サイトでは、一日に必要なたんぱく質を含む献立の例を具体的に紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

とはいっても、食べる気が起こらない場合は?

食欲が湧かない原因は様々かと思いますが、原因に合わせてできる工夫を試してみましょう。

<敬遠しがちな硬い肉は軟らかく食べやすくしましょう>

パイナップル、キウイ、生姜などには、たんぱく質を分解する「プロテアーゼ」という酵素が含まれています(参考文献・参考資料④、⑤)。

これらの食品をすりおろしてお肉を付け込んでおくと、酵素の力でお肉が柔らかくなり食べやすくなります。

また、加熱前のお肉に小麦粉や片栗粉をまぶしておくと、肉汁が流れ出すのを防ぎ柔らかく仕上がります。

いろいろな味や風味を楽しみましょう>

料理に酸味や香辛料、香味野菜を利用すると、胃酸の分泌が促進され消化を促すため食欲増進に効果的です。

■ 酸味…酢、ポン酢、梅干し、トマト、レモン汁など

■ 香辛料…からし、わさび、唐辛子、こしょう、カレー粉、柚子胡椒、ハーブなど

■ 香味野菜…大葉、ねぎ、生姜、にんにく、みょうがなど

(調理例)蒸し鶏の梅しそ和え、薬味たっぷり冷奴、いわしのカレー粉焼きなど

<だしを利かせましょう>

健康のためには「減塩」は大切です。しかし、塩を減らしすぎてしまうと、味気のない食事になり、食欲が湧きにくくなります。

単なる薄味でなくだしの旨みを利かせることで、減塩しても美味しく味わうことができます。

<家族や友人と一緒に食べたり、雰囲気を変えてみましょう>

友人を自宅に招き、楽しい雰囲気で一緒に食卓を囲むと、食欲も湧きやすくなります。
外食やお弁当を持ってピクニックに出かけるなど、いつもと雰囲気を変えてみるのもおすすめです。

栄養補助食品も上手に活用しましょう

栄養補助食品と聞くと、甘く濃厚な飲料を思い浮かべ、口に合わないと避けている方もいらっしゃるかと思います。

最近では、甘い飲料タイプの栄養補助食品だけでなく、甘みのないスープ風味のものや、さっぱりしたゼリー状のものも販売されています。

粉末タイプのたんぱく質補給食品も販売されており、いつもの食事に加えるだけで、味や食事のボリュームを変えずに簡単にたんぱく質を補給することができます。

また、たんぱく質が強化された高たんぱく食品(ヨーグルト、カップ麺、パン、シリアル、お菓子、アイス、飲料など)も多数販売されております。

スーパーやコンビニ、ドラッグストアなどでも手軽に手に入れることができるため、口に合うものを見つけてみてはいかがでしょうか。

たんぱく質に限らず、エネルギーを確保することが大切!

どうしても食事量が確保できない場合は、たんぱく質にこだわらず、食べられるものを食べられる時に食べてエネルギーを確保しましょう。

喉越しが良く消化の良いもの(おかゆ、お茶づけ、麺類、茶碗蒸しなど)や、冷たくてさっぱりしたもの(プリン、ヨーグルト、ゼリー、果物など)を、食べたいときに食べられるように準備をしておくとよいでしょう。

また、少ない量で効率よくエネルギーを摂ることができる、油の活用もおすすめです。

特に「MCT(中鎖脂肪酸100%の油)」は、一般の油と比べて消化・吸収されやすく、エネルギー源として使われやすいという特徴があります(参考文献・参考資料⑥)。

MCTオイルは、加熱調理には向かないので、ご飯に炊き込む、汁物や牛乳に加える、和え物と一緒に和えるなどの活用方法がおすすめです。

このように、油を毎日の食事に加えるだけで、食事量を増やさず効率よくエネルギーを摂ることがでます。

食事の時間をより良いものにするために、まずは食品の選択や調理方法など自身でできることを取り入れてみましょう。

また、栄養補助食品などの商品も活用しながら、上手に栄養補給をしていけるとよいですね。

【Point 1.】肉・魚・卵・大豆製品をそれぞれ手のひらサイズを目安に摂ろう!

【Point 2.】食事をひと工夫して、たんぱく質摂取量を増やしてみよう!

【Point 3.】食事からの補給が難しい場合は、栄養補助食品などの活用もおすすめ!


参考文献・参考資料

  1. 三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量 | 健康長寿ネット(2023年06月09日閲覧)
  2. 村山 洋史. 高齢期の体重管理を考える. 老年看護学 2018:22;25-27
  3. 厚生労働省.日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書(2023年06月09日閲覧)
  4. 妻鹿 絢子, 他. ショウガプロテアーゼの筋原繊維蛋白質におよぼす影響. 家政学雑誌 1983:34;79-82
  5. 曽田 功, 他. キウイフルーツプロテアーゼの利用について. 日本食品工業学会誌 1987:34;36-41
  6. 青山 敏明. 中鎖脂肪酸の栄養学的研究. オレオサイエンス 2003:3;403-410