【Point 1.】自分たちのサポートだけで、本当に効果があるのかどうか心配…
【Point 2.】適切な訓練を受けた非専門家による在宅支援が効果的である事が示された!
【Point 3.】遠隔でのやりとりが活発な今、訓練を受けた非専門家の活躍が期待できるかも
※ この記事は2021年02月01日にリライトされました。
自分たちのサポートだけで、本当に大丈夫??
おうちや身の回りで高齢者の支援をされている方々にとって、「本当にこれで良いのか?」という不安は少なからずあるのではないかと思います。
近年では病院での入院期間を減らし、地域や在宅で生活を支援する取り組みが活発となっています。
時には、看護師や介護士といった専門家のアドバイスを聞く機会もあるでしょう。
しかし、常に専門家がそばにいてくれるわけではありません。
果たして、専門家でない人(非専門家)によるサポートは効果があるのでしょうか。
今回は、在宅で『非専門家』による支援が本当に効果的なのかどうかを検証した報告をご紹介いたします。
非専門家による運動+栄養支援と社会的支援の効果を比較
この研究では、オーストリアのウィーンに在住する地域在住高齢者80名(平均年齢83歳)の方を対象としました。
対象者の基本的な情報を確認した後、次の2群に対象者をランダムに分けました(ランダム化比較試験)。
- 運動+栄養支援群
- 社会的支援群
両群とも、支援は事前に講習などを通して訓練を受けた非専門家によって週2回、自宅を訪問する形で合計12週間行われました。
その上で、支援を行う前と後で栄養状態やフレイルの有無を確認しました。
運動+栄養支援群は6種類の筋トレメニューで構成されたサーキット・トレーニングを2セット実施しました。
併せて、栄養に関する情報やオススメのレシピを記載したガイドブックをお渡しして、非専門家と議論しつつ普段の生活で実践してもらいました。
社会的支援群は自宅を訪問しますが、筋トレや栄養支援は行いませんでした。
実際、社会的支援群は対象者と一緒に外出をしたり、趣味を一緒に共有することで支援を行いました。
また、場合によっては認知機能訓練を行う機会が設けられました。
どちらも同程度に効果有り!
栄養状態に着目して支援前後の変化を確認したところ、支援する前と比較して運動+栄養支援群も社会的支援群も同じように栄養状態が改善していることが分かりました。
フレイルの有病率に着目した場合も同様、両群とも同じように有病率が低下していることが明らかとなりました。
元々栄養状態の悪い人だと効果絶大?!
支援を行う前に栄養状態が悪かった人に対象者を絞って検討したところ、どちらの支援を行った場合においても、栄養状態の改善の程度が大きいことが明らかとなりました(オッズ比:3.18)。
この結果はフレイルの有病率に着目した場合でも同様で、栄養状態の悪かった人に対象者を絞った場合、改善の程度が大きいことが示されました(オッズ比:3.16)。
互助の取り組みに希望あり
社会的支援を行うと、運動と栄養の支援を行った場合と同等に栄養状態の改善やフレイルの是正に効果的である事が今回ご紹介した報告の結果から示されました。
この報告の最も着目すべきポイントは、なんと言っても非専門家によるサポートの効果が示されたことでしょう。
更なる検証が必要ではありますが、適切な訓練を受けた非専門家が近隣の支援を担うことができれば、相対的に社会的な負担も減るかもしれません。
厚生労働省ではこのような取り組みを総称して『互助』と呼んでおり、地域包括ケアシステムの構成要素の1つとして掲げています(参考文献・参考資料1)。
今回ご紹介したシステムのように、専門家が非専門家に適切な訓練を指導し、非専門家が様々なサポートを行う取り組みが加速していくと予想されます。
また、新型コロナウイルスの感染拡大防止も兼ねて、現在では「遠隔」でのサポートも検討され始めています(参考文献・参考資料2)。
今後、専門家が直接関わらないようなサポート体制は、ますます普及していくでしょう。
今一度、ご自身に合ったサービスをインターネット等で検索してみてはいかがでしょうか。
ー紹介文献情報ー
【雑誌名】J Am Med Dir Assoc. 2016 Jul 1;17(7):671.e9-671.e16.
【筆頭著者】Luger E
【タイトル】Effects of a Home-Based and Volunteer-Administered Physical Training, Nutritional, and Social Support Program on Malnutrition and Frailty in Older Persons: A Randomized Controlled Trial.
【PMID: 27346650】