健康に良いスポーツの特徴は?

運動知識
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理学療法士

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【Point 1.】長生きできるスポーツの特徴は「集団で行うもの」である可能性が示された

【Point 2.】サイクリングは誰でも手軽にできるスポーツの1つかもしれない

【Point 3.】健康に良いスポーツを通じて、多くの人と交流できる機会を作っていこう!

※ この記事は2021年02月01日に一部リライトされました。

健康に良いスポーツとは?

以前「今年定年を迎える父親にオススメしたい!ー健康に良いスポーツ5選ー」ではこのような疑問に対して、

  • ジョギング:シンプルで運動強度を調整しやすいスポーツ
  • 太極拳:ゆったりとした動作で無理なく体を使うことができるスポーツ
  • ゴルフ:実際にプレイするのではなく、観戦するだけでも効果的なスポーツ

など、いくつかの視点から5つのスポーツをご紹介しました。

これらのように、各々のスポーツにはそれぞれ特徴があり、スポーツによって得られる効果も様々です。

では、どのスポーツが最も健康に良い効果を得ることができるのでしょうか?

今回は健康への効果のうち、どのようなスポーツが一番「長生きできるかどうか」について調べた研究をご紹介します。

スポーツによる健康への効果を20年以上かけて調査

この報告はデンマークの首都、コペンハーゲンで1991年から行われている大規模な前向き研究から発表されました(Copenhagen City Heart Study: 参考文献・参考資料1)。

この研究では、さまざまな種類のスポーツへの参加や余暇に行う運動に関する細かいアンケート調査を経時的に行っているため、どのスポーツが最も健康に良いか調べることができました。

この報告の対象者は1991年から1994年の間にスポーツに関するアンケートを行い、その後2017年3月までにどのような理由で亡くなったかを確認しました。

その結果、過去に脳卒中やガンなどに罹ったことのある人を除いて最終的に8,577名の方が対象となりました。

そのうち、座りがちな生活を送っている人は1,042名(12%)でした

その上で、座りがちな生活と比較した際に、どの程度長生き出来たかどうかを統計学的に調べました。

最も寿命が長かったのはテニス!!

調査の結果、座りがちな人と比較して最も寿命が長かったのはテニスであることが明らかとなりました。

それぞれ調査されたスポーツと、寿命の長さは以下の通りです。

  • スポーツクラブなどのヘルスクラブ:1.5年
  • スイミング:3.4年
  • 体操:3.1年
  • サイクリング:3.7年
  • ジョギング:3.2年
  • サッカー:4.7年
  • バドミントン:6.7年
  • テニス:9.7年

この結果から言える特徴として、味方や相手といったいろんな人と交流できるスポーツほど長生き出来る傾向がありました。

最も運動している割合の高いスポーツは??

更なる解析の結果、複数のスポーツを行っている方の中で、最も多くの方が行っているスポーツはサイクリングでした。

例えば、テニスを行っていた方の約9割は、サイクリングも行っていることが分かりました。

一方で、サイクリングを行っていた方の中で、テニスも行っていたのはわずか3%でした。

また、運動する期間についても同様に、サイクリングをしている時間が最も長いことが明らかとなりました。

例えば、テニスを行っていた方に着目すると、その人が運動している時間のうち約半分はサイクリングを行う時間に使われており、実際にテニスを行っている期間は余暇活動全体の18.6%でした。

一方で、サイクリングをしていた方に着目すると、サイクリングに当てていた時間は平均で83.9%であったのに対し、テニスに当てていた時間はわずか0.6%でした。

スポーツを通して多くの人と交流する機会を

以上、最も寿命を長くさせるスポーツは何かを調べた研究をご紹介いたしました。

その結果、長生きに最も関連するスポーツはテニスである可能性が示されましたが、テニスを行っていた方のほとんどはサイクリングも行っており、テニスよりもサイクリングに費やしていた時間の方が長いことも分かりました。

今回示された結果のように、複数のスポーツを行っていることがメリットに繋がる可能性も考えられます。

また、短い時間でも良いので対戦相手やチームメイトなど人との交流があるスポーツを余暇に取り入れると効果的なのかもしれません。

なお、今回ご紹介した報告は「観察研究」と呼ばれる研究手法を用いており、研究の対象となる方の基準等を厳格に定めたものではありません。

それにより、テニスを行っていた方々に比較的健康な方が集まっていた可能性もあれば、他のスポーツを行っていた方々は元々持病を抱えていた可能性も考えられます。

実際にスポーツの効果を検証するためには、「介入研究」と呼ばれる研究手法を用いて調査する必要があるでしょう。

ただ、多くの人と交流できる機会があるスポーツを余暇に取り入れることで、健康に良い効果はありそうです。

すでに何かしらのスポーツをやられている方は種目を増やしてみたり、他人と一緒に行えるスポーツを取り入れてみたりすると良いかもしれませんね。


ー紹介文献情報ー

【雑誌名】Mayo Clin Proc. 2018 Dec;93(12):1775-1785.

【筆頭著者】Schnohr P

【タイトル】Various Leisure-Time Physical Activities Associated With Widely Divergent Life Expectancies: The Copenhagen City Heart Study.

【PMID: 30193744