【Point 1.】インターネットを使用している高齢者は健康的な生活習慣の実践率が高く、主観的健康状態も良好である傾向があった。
【Point 2.】要因として年齢や性別、収入などが挙げられたが、最も大きな要因は「教育水準」であることが示された。
【Point 3.】デジタルリテラシーの支援やアクセス環境の整備などを通じて高齢者のインターネット使用による健康格差を縮小していくことが大切。
高齢者におけるインターネットの活用
今やインターネットが当たり前となってきた時代ではありますが、高齢者においては中々慣れない方も多いのではないでしょうか?
実は、高齢者ほどインターネットをきちんと活用することが出来ていると、その後の健康状態が良いことが、2025年の報告から明らかとなりました。
この研究は30カ国にもおよぶ60歳以上の14,008人を対象とした国際的な大規模調査の結果から示され、Age and Ageing誌に掲載されました。
その結果、インターネットを利用して健康情報などを得ている高齢者は、健康的な生活習慣(例:適度な運動、バランスの取れた食事)の実践率が高く、主観的健康状態も良好である傾向が見られました。
一方で、インターネットにアクセスできないグループは、生活習慣・健康状態のいずれの指標でも最も低い水準にとどまっていました。
この調査では、対象者を以下の3つのグループに分けて検証を行っています。
・インターネット非接続群(No-Access Group):全体の22.0%。インターネット自体にアクセスできない。
・非利用群(Non-User Group):全体の28.8%。インターネットには接続できるが、健康情報の検索には利用していない。
・利用群(User Group):全体の49.2%。インターネットを通じて健康情報を積極的に取得している。
これらの分類を見ると、対象となった高齢者の約半数はインターネットを十分に活用することが出来ていると解釈できますが、一方で約2割の方々は、インターネットにアクセスすることすら困難である状況が見て取れるかと思います。
また、詳細な解析を行った結果では、インターネットへのアクセスや活用の有無は、性別、年齢、収入といった社会人口学的要因と関連していましたが、特に教育水準が強く影響していることがわかりました。
これらの結果からも、今後はデジタルリテラシーの支援やアクセス環境の整備といった「デジタル包摂(digital inclusion)」を通じて、高齢者の健康格差を縮小する取り組みが求められるのではないかと考えられています。
合わせて、誤った健康情報に惑わされない力(ヘルスリテラシー)に対する支援も必要となってくるでしょう。
今回ご紹介した研究をもとに、普段は慣れてないインターネットでも、活用してみることでご高齢の方の新たな刺激となるかもしれません。
もし身の回りでインターネットを使い始めたい! という希望を持つご高齢の方がいらっしゃる場合は、使い方だけでなく、正しい情報を取捨選択するための支援も一緒に行ってみると良いでしょう。
ー紹介文献情報ー
【雑誌名】Age Ageing. 2025 May 3;54(5):afaf131
【筆頭著者】Yen HY
【タイトル】Internet access and use for health information and its association with health outcomes in older adults in 30 countries
【PMID: 40401340】


