【Point 1.】スポーツは多種多様であり、健康にもたらす効果も様々である
【Point 2.】健康のために一番大事なのは『長く続ける』こと
【Point 3.】運動のメリットを話して、定年する父親の興味が沸くスポーツを勧めてみよう!
定年退職は健康の始まり?!
「定年後は暇になるな・・・」
もし定年間際の父親がこんなことをぼやいていたら、健康的な生活リズムを手に入れるチャンスです!
父親にはいつまでも元気でいてほしいと願っている方。
健康診断で指摘されたのにも関わらず何もやろうとしない父親が心配な方。
そんなときは、定年退職をきっかけにして、健康に良いスポーツをオススメしてみてはいかがでしょうか?
今回は父親思いのあなたのために、科学的に「健康に良い」と言われているスポーツをお伝えしましょう。
オススメするスポーツを選ぶ前に
もちろん、どのスポーツも同じように効果があるわけではなく、スポーツの種類によって得られる効果は様々です。
では、どのような視点や判断基準をもって、「健康に良い」スポーツを選ぶと良いのでしょうか?
たとえば、スイミングなど水中で行うスポーツは水の中に浸かっているため普段より多くの体力を使いますが、「浮力」という水の特性のおかげで、足腰の負担を減らすことができます。
一方で、ランニングなどは足腰に適度な刺激を与えることができるため骨を丈夫にしてくれますが、過剰に行ってしまうと膝などを痛めてしまう可能性もあります。
どんなスポーツにおいても、
- その人の身体の状態に適しているかどうか
- そのスポーツを続けることで、身体にどのような影響を与えるのか
を正しく把握したうえでスポーツを始めれば、その効果も得られやすくなるでしょう。
スポーツを通じてできたコミュニティが健康を増進させる?!
今お伝えしたスイミングやランニングといったスポーツは、基本的に1人で行うイメージがあるかと思います。
一方で、駅伝やリレーなど、チームスポーツや相手がいることでできるスポーツは、コミュニケーションが活発になるため、いろんな人との交流が増えていきます。
最近報告された研究によると、知人との交流や近所づきあいが少ないと早死にする可能性があるようです(参考文献・参考資料1)。
つまり、多くの人と一緒に行うスポーツは、長生きする秘訣になりうるとも考えられます。
定年後にスポーツを始めることで交友関係が広がっていけば、さらに健康的な生活を送ることができるでしょう。
最近では自治体などでコミュニティの場を作っていることもあります。
知り合いが元々コミュニティに所属していれば、ちょっといじっぱりな父親でも気兼ねなく参加することができるかもしれませんね。
定年を迎えた父親にオススメしたい、健康に効果的なスポーツ5選
では実際に、どんなスポーツが健康に良いのでしょうか?
ここからは、科学的にも「健康に効果がある」と考えられているスポーツを5つご紹介いたします。
定年退職する父親の趣味と合うものかどうか、もしくはどのような効果が期待できるのかどうかを吟味してみると良いでしょう。
今話題の「テニス」
今、最も盛り上がっているスポーツといえば、テニスでしょう。
テレビでもテニスの話題を目にする方は多いかと思います。
実は、テニスは健康に良いスポーツとして注目されています(参考文献・参考資料2)。
例えば、強い球を打つためには力が必要になりますし、長い時間続けてプレーするので体力も自然につけることができるでしょう。
さらに、テニスはボールを打ち返す時のとっさの判断や相手の動きを観察する注意力が必要になるので、認知症の予防にもなると考えられます。
スポーツ番組などを見ていてテニスの話題が上がってきたらチャンスです!
「テニス始めてみない?」と一声かけてみてはいかがでしょうか。
広大な自然と向き合える「ゴルフ」
昔から知られている紳士のスポーツといえばゴルフ。
老若男女問わず楽しめるスポーツとして国内外で人気なスポーツの1つですし、広大な自然の中でプレーするので、自然と活動量も増えていきます。
できるだけカートを使わず、歩くことを心がけてプレーするのも良いでしょう。
しかし!
今回オススメしたいのはプレーではなく「観戦」なんです。
Paul Lawrie Match Play というゴルフのイベントに「観戦者」として参加した人に万歩計をつけてもらったところ、平均でなんと11,589歩も歩いていることが分かりました(参考文献・参考資料3)。
実に8割以上の人がゴルフを観戦している間に、1日の推奨量の運動を達成していたのです。
さらに驚くべきことに、そのイベントに参加した6割以上の人が、イベント後に運動をすることに関心を持ったことが明らかとなりました。
1度のイベントで知らぬ間に運動に興味を持つ。
家族で退職祝いのパーティを開いた際にプロゴルフツアーのチケットをあげるのも1つの手かもしれません!
足腰をじっくり使う「太極拳」
太極拳は中国武術の一派で、ゆったりとした動きが特徴です。
太極拳はその他の武術のように筋骨を鍛錬するのではなく、呼吸法に則って内面の「気」を養い、健康を保持することを主な目的としています。したがって、体力に自信のない人でも誰にでもできる運動といえます(参考文献・参考資料4:原文まま)。
現在、太極拳は医学的にも注目されています。
例をあげると、脳卒中に対する予防効果や不安な感情を抑制する効果、手術後の乳がん患者の運動機能の改善効果などが報告されています(参考文献・参考資料5)。
一方で「直接的な利益はない」といった報告もいくつかみられるようです。
しかしながら、今まであまり運動したことがない場合は無理なく始めることのできるスポーツの1つでしょう。
定番の「ジョギング」
ジョギングも立派なスポーツです。
Copenhagen City Heart Studyという研究チームから発表された報告によると、1週間に1~2.4時間のジョギングをしていた人は座りっぱなしの人と比較して死亡のリスクが7割も低いことが分かりました(参考文献・参考資料6)。
また、ジョギングの頻度は週2~3回もしくは週1回以下が効果的で、ゆっくりのスピードでも良いことが示されました。
むしろ、走るスピードが速すぎると死亡率は座りっぱなしの生活とさほど変わらないようです。
ここまでハッキリと健康への効果が示されているスポーツはほとんどありません。
シンプルな運動なので自身で運動の負荷を調整しやすく、これから運動を始めるという人にはもってこいですね。
特に4-5月の季節は気候も良く、植物が花開く時期でもあるので、周りの景色を楽しみながら走ることでストレス発散や気分転換にもなるでしょう。
ただ、いきなりジョギングを始めるのはしんどいと思っている父親には、次にご紹介する「ノルディックウォーキング」をおすすめしてみると良いかもしれません。
ムリなく全身運動ができる「ノルディックウォーキング」
ノルディックウォーキングは両手にスキーのストックのようなもの(ポール)を持ち、ポールを地面に突きながら歩くスポーツです。
このスポーツは下半身だけでなく、腕の筋肉や腹筋、背筋などといった全身の筋肉を効率良く動かすことができます。
また、ポールが杖のような役割を果たすため、足腰への負担が軽減されることが特徴です。
数ある研究をまとめた報告によると、有酸素運動として効果的であることが知られていますが、まだまだ調べ切れていないことが多いようです(参考文献・参考資料6)。
どこまで効果的なのか、メリットをキチンと把握した上でオススメしてみましょう。
特に、有酸素運動は高血圧症や肥満、糖尿病といった生活習慣病に効果的であることが広く言われていますので、健康診断でメタボなどの生活習慣病を指摘されている父親には有酸素運動を取り入れたスポーツをすすめてみると良いかもしれませんね。
ポイントは「長く続ける」こと
これまで、健康に良いとされているスポーツのなかから5つをご紹介しました。
もちろん、今回ご紹介した例だけでなく、スイミングやサッカー、ヨガなど、他にも健康に良いと言われているスポーツはたくさんあります。
しかし、せっかく始めてみたスポーツも長続きしなければ意味がありません。
以前ご紹介した報告では2年間や6年間と、長い期間にわたって運動を継続したことが健康につながっていることをお伝えしました。
(運動量を増やすと心不全のリスクが下がる!!-6年間の調査から-)
(運動不足を改善すると体力だけでなく心臓の機能も改善する?!ー2年間の検証からー)
大事なのは「長く続ける」こと。
そのためには、心から楽しいと思えるようなスポーツを選んであげることも大切でしょう。