運動量を増やすと心不全のリスクが下がる!!-6年間の調査から-

基礎知識
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【Point 1.】運動量が少ないと、心不全や心筋梗塞といった病気になりやすいと言われている

【Point 2.】少なかった運動量を増やすことで心不全発症を予防できる可能性が示された

【Point 3.】これを機に、普段の運動量を増やすよう心がけてみよう!

皆さんは、ご自身の運動量がどのくらいか把握していますか??

運動量は何METsの運動をどのくらいの時間行ったかで換算され、「METs・時」と記載されます。

METsは「運動不足を改善すると体力だけでなく心臓の機能も改善する?!ー2年間の検証からー」でもお伝えしたとおり、運動の強さを示す指標です。

運動中(活動中)のエネルギー消費量を座っているときの代謝量(酸素摂取量で約 3.5 ml/kg/分に相当)で除したものに相当します。

この運動量が不足すると、心不全や心筋梗塞などの様々な病気の元になると考えられています。

今回は、普段の運動量を増やすとどのようなメリットがあるのか、心不全発症の有無を基準に調べた研究をご紹介します。

もし、運動量が不足していると感じた方は見てみて下さい。

1万人以上を6年間追跡して検証

この研究はARIC(Atherosclerosis Risk in Communities) Studyと呼ばれる、アメリカに住んでいる健康な方を対象とした大規模研究から報告されました(参考文献・参考資料1)。

1987年から1989年の間に1回目の調査に参加し、その6年後にあたる1993年から1995年の間に再度調査に参加した、心臓病を患ったことのない11,351人(平均年齢60歳)を対象としました。

運動量はアンケートを用いて評価し、運動量を「推奨レベル」、「中間」、「低い」の3群にそれぞれ分けて解析を行いました(参考文献・参考資料2)。

なお、ここで言う推奨レベルは、活発な歩行運動を1日30分、週4回行うことに相当しています。

心不全の判断は、米国心臓協会が作成したガイドラインに従い、2013年までに心不全を発症したかどうかを調査しました。

推奨レベルの運動量を継続できていると心不全のリスクが低い!!

結果、1回目の調査から6年後の調査までずっと運動量が「低い」方と比較して、「推奨レベル」の運動量を常に保てていると、心不全になるリスクが約30%低いことが明らかとなりました。

運動量を増やせば心不全のリスクは下がる!!

1回目の調査で運動量が「低い」という結果だった方が、6年後の調査で「推奨レベル」まで運動量が増えていると、増えていない方と比較して心不全になるリスクが11%下がることが分かりました。

つまり、たとえ1回目の調査で運動量が「低い」と判定された場合でも、運動量を増やすことで、心不全を予防できる可能性が示されました。

今からでも遅くはない!?

今回の研究報告から、心不全のリスクになり得る運動不足な状態にある人が、今から運動量を確保しても、心不全を予防できる可能性が示されました。

しかしながら、今回の研究ではアンケートを用いて運動量を評価しているため、歩数計のように明確な測定値を用いて検証しているわけではありません。

つまり、対象者それぞれの価値観や考え方によって、運動量の結果が異なる可能性があるので、結果の過大解釈に注意しましょう。

2017年に改訂された本邦の心不全ガイドラインでは、心不全に対して、身体活動・運動習慣の確保は有効であるというエビデンスがあり、行うよう勧められる(クラスⅠ、グレードB)としています(参考文献・参考資料3)。

これは、1週間で500METsの身体活動を行った場合、運動していない人と比較して心不全発症のリスクが10%低下するという報告に基づいています(参考文献・参考資料4)。

これを機に、定期的に運動量を確保してみてはいかがでしょうか??


ー紹介文献情報ー

【雑誌名】Circulation. 2018 May 15;137(20):2142-2151.

【筆頭著者】Florido R

【タイトル】Six-Year Changes in Physical Activity and the Risk of Incident Heart Failure: ARIC Study.

【PMID: 29386202