座っている時間を相殺する健康法は?

基礎知識
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理学療法士(PT)

あなたも座りすぎ? -身の回りに潜む座りすぎの危険-

「座りすぎ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

もしかしたら、ご自分の気付かないうちに「座りすぎ」ているのかもしれません。

「退職後はテレビの前に座る時間が増えた」

「最近は友人との集まりに行けず出かける頻度が減った」

「街中で歩いていてよく追い越されるようになり外出するのが億劫になった」など、

これらに当てはまる方、似たようなことが思い浮かぶ方は要注意です。

この記事では座りすぎの定義やデメリット、運動を含めた対策について概説していきます。

そもそも「座りすぎ」とは?

みなさんが想像している通り、同じ姿勢で長時間座っている場合に「座りすぎ」と言います。

他にも、多くの論文では睡眠の時以外で長い時間横になって寝転んでいる状態なども「座りすぎ」に含むことがあります。

ご自身の生活を振り返ってみて、たとえ椅子に座って居なくても長時間テレビや本、携帯電話を横になりながら見ていることが多いのではないでしょうか。

「座りすぎ」のデメリットととして、現在では心臓病や2型糖尿病のリスクを増大すると報告されており、一部の研究ではがんのリスク増大についても報告されています。

座りすぎを相殺できる運動は?

座りすぎを相殺するには、1週間あたり500~1000METS・分(おおよそ1日当たり30分から40分以上、可能なら1週間で300分以上の中等度の運動)を推奨している研究があります(参考文献・参考資料①)

運動の強度の目安として、下の表に示すように軽度の運動では家事など、中等度の運動ではウォーキング等が挙げられます。

表1:身体活動量(低強度、中強度、高強度別の運動例)

低強度
(~2.9 METs)
皿洗い、洗濯、洗車、植物への水やり、ゆっくりとした歩行、
ゆったりしたストレッチ、など
中強度
(~5.9 METs)
掃除機、軽い荷物運び、ウォーキング(やや速歩)、ゆっくり階段を上る、自転車に乗る、軽い筋力トレーニング、など
高強度
(6.0 METs~)
雪かき、農作業、ジョギング・ランニング、水泳、など
※参考文献・参考資料②の分類(背景色)をもとに編集部作成

一方で、座りすぎのリスクを運動で解消していくのは困難という研究もあります。

WHO(世界保健機関)のガイドラインでは、可能な限り座りすぎの時間を減らすことと、運動を行うことの両者を組み合わせることが推奨されています(参考文献・参考資料③~⑤)。

本記事ではWHOのガイドラインに準じ、可能ならば次の記事で詳しく挙げているような1日30分以上の有酸素運動や週3日以上の筋トレやスポーツをお勧めします。

座りすぎを止めるためのひと工夫

座りすぎの予防のために、普段の生活にこまめに立つ習慣を取り入れてみましょう。

例)
■長時間の座って作業を行うときは30分毎に立って背伸びをしてみる
■立つのを忘れそうな方は、作業時間を決めてタイマーをかけてみる
■テレビのCMの度に立ち上がって水を汲みに行く

きっかけは何でも構いません。

2~3分だけでも、座っている時間をリセットできればそれでも十分です。

今日からできる座りすぎ対策

最後にここまで記事を読んで運動できるか不安な方に向けた内容です。

ポイントはどんな運動でもやらないよりやる方がいいということです。

推奨量未満の運動も運動しないことに比べるとメリットがあります。

いきなりランニングが難しい方は散歩から、散歩が難しい場合は家事など身の回りのことから始めることが長続きのコツです。

それでもハードルが高い方は、座りながら踵上げや膝伸ばしから始めてみましょう。

自分のペースで続けることも長続きのコツです。

図:座ったまま行える体操の例

 無理のない範囲の運動から始めて、徐々に強度や量を上げたり、下げたりしながら自分に合った無理なく続けられる身体活動を探してみましょう。

また、スポーツを家族や友人との交流の機会にすることで、無理なく運動を始めることができるかもしれません。

【Point 1.】座りすぎは身近に潜んでおり、心臓病、糖尿病、がんのリスクを高める

【Point 2.】健康のためには、1日30分以上の有酸素運動、週3日以上の筋トレやスポーツがおすすめ

【Point 3.】座りすぎ予防はこまめに立つことから。無理のない運動を継続することが大切