高齢者の就労(復職編)

基礎知識
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”この記事を書いた人”
舩津康平

理学療法士(PT)/公衆衛生系大学院

働いていて病気になったら仕事は辞めなければならないのか?

現代において、病気を治療しながら仕事をしている人は労働人口の約3分の1もいると言われています(参考文献・参考資料①)。

参考文献・参考資料①をもとに編集部作成

病気を治療しながら仕事をしている人の中には、仕事の継続・費用の工面など将来を不安に感じる方が多いのではないでしょうか?

しかしながら近年、日本でも仕事と治療の両立支援が進んでいます。

仕事と治療の両立支援とは「病気を抱えているが働く意欲・能力のある労働者が適切な治療を受けられ、生き生きと働き続けられる社会を目指す取り組み」のことです。

なので、病気にを抱えてすぐに退職する必要性は無く、治療しながら職場復帰を目指すことが可能になってきました。

以上より、病気や怪我をしたことにショックを受け辞職してしまう、「びっくり離職」はしなくて良い時代だと言えます。

職場復帰は生活習慣にもメリットがある

職場復帰をすることで、生きがいを持つことができ、さらには収入も得られるメリットがあります。

他にも生活習慣が大きく影響する、フレイルという状態の予防にもつながると考えられます。

また、60歳以上の方でフレイル予防を含めて社会との接点を持ちたい場合、シルバー人材センターを利用するのも一つの手です(参考文献・参考資料②)。

職場復帰したい時は誰に相談したら良い?

大規模な職場では産業医・産業保健師など産業保健職と言われる人、小規模な職場であれば職場の安全衛生推進者などに相談すると良いでしょう。

産業保健職がいない場合や職場に詳しい方がいない場合は、以下のような公的機関に相談すると良いでしょう。

■産業保健総合支援センター

 治療と仕事の両立支援のための専門の相談員を配置し各種支援を行う場所

■ハローワーク

 全国に最も多い就労に関する相談窓口

■障害者就業・生活支援センター

 障害者の身近な地域において就業面及び生活面における一体的な支援を行う場所

■治療就労両立支援センター

 疾病について、休業からの職場復帰や治療と仕事の両立支援を実施している場所

参考文献・参考資料③

ケガなどの症状が軽い場合は基本的にリハビリの頻度が低くなりやすいため、上記のような社会的サポートを受ける前提で復職を考える方が良いかと思います。

経済面で利用できる制度

治療に伴う費用といった経済面のサポートは、代表的に以下の制度があります。

■高額療養費制度
■傷病手当金
■障害年金
■医療費控除

参考文献・参考資料④

参考資料にはその他のサポートや相談窓口・支援内容が記載されているので、ご確認ください。

経済面で利用できる制度を利用することで、職場復帰までの期間は安心して治療に専念できるでしょう。

まずは一歩踏み出して会社側に相談しよう

余暇での身体的な活動は健康に良いですが、仕事による身体的な活動は必ずしも健康に良い影響を及ぼすとは言えないことが分かりました(参考文献・参考資料⑤)。

この事から、病気や怪我により体力が低下した状態では、作業負荷の考慮は重要になります。

会社側に相談することで、業務の配置転換や作業負荷を調整してくれる可能性が高まるでしょう。

ここまで職場復帰するためのサポートや経済面のサポートを紹介してきました。

様々なサポートを利用するためには、まずは行動を起こさないと始まらないので、自分で一歩を踏み出してみましょう!

【Point 1.】病気や怪我をしてもすぐに仕事をやめないようにしよう

【Point 2.】治療と仕事を上手に両立するために、経済面の社会資源や産業保健職を利用しよう

【Point 3.】最初の一歩はご自身で!まずは会社に職場復帰したい旨を相談することから始めよう


参考文献・参考資料

  1. 働き方改革実行計画 : 平成29年3月28日 働き方改革実現会議
    https://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/pdf/gaiyou_h290328.pdf
  2. 全国シルバー人材センター事業協会
    http://www.zsjc.or.jp/about/about_02.html
  3. 治療と仕事の両立支援ナビ > 支援を受ける方へ > 利用可能な支援制度https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/forsubject/#section_2
  4. 治療と仕事の両立支援に関する支援制度
    https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/dl/guideline_shien.pdf
  5. The physical activity paradox in cardiovascular disease and all-cause mortality: the contemporary Copenhagen General Population Study with 104 046 adult
    https://academic.oup.com/eurheartj/article/42/15/1499/6213772