仕事中の運動量が心筋梗塞に影響する?!

基礎知識
この記事は約4分で読めます。
”この記事を書いた人”
山下真司をフォローする

【Point 1.】日中の運動量を確保すると、心臓病のリスクを下げることができると言われている

【Point 2.】しかし、仕事中の運動量は、その後の心筋梗塞の発症と関連しなかった

【Point 3.】仕事中に限らず、日中通して運動量を確保することを心がけてみよう!

デスクワーク業務が増えて、仕事中に身体を動かす機会が減っていませんか?

以前「座りすぎは心臓病・がん・糖尿病のリスク!?ー34の研究からー」でもお伝えした通り、日本人は他国と比較して座っている時間が長いことが指摘されています。

では、この座っている時間は、仕事中に限って考えても同様の事が言えるのでしょうか?

今回はスウェーデンから報告された研究を元に、その関連性について見ていこうと思います。

仕事中の運動量を3つに分類して検証

この研究では、過去に心筋梗塞を発症したことのない従業員9,961名(男性6849名、女性3112名、平均42.7歳)を対象としました。

対象者は、仕事中の運動量に応じて次の3つのグループに分類されました。

  • 仕事の半分以上を座って過ごす
  • 仕事の半分以上は立っているか歩いているが、荷物は持たない
  • 仕事の2時間以上は荷物を運んだり重いものを持ったりしている

仕事中の運動量は心筋梗塞に影響しない?!

解析の結果、ライフスタイルなどの要因を加味した上でも、仕事中の運動量は心筋梗塞の発症と関連しないことが分かりました。

この結果から筆者らは、仕事中の運動量は心筋梗塞のリスクを下げるのに十分ではないかもしれないと考察しています。

あまり動かない若者は注意が必要??

年齢別に分けて解析を行った結果、荷物を持って作業している45歳以下の若年者は、座って作業している若年者と比較して心筋梗塞の発症リスクが63%低くなることが明らかとなりました。

しかしながら、この結果の解釈には注意が必要です。

一般的に、年齢や性別で分けで解析を行うと(層別化解析)、解析対象となる人数が減ってしまうため、結果にばらつきが生じやすくなり、真の関連付けを検出する能力が低くなります。

今回の場合、結果を高く見積もった場合は83%もリスクが低下し、低く見積もると16%しかリスクは低下しないことが示されました。

したがって、この結果を解釈するには、ばらつきを60%以上見積もる必要があります。

このあたりは、結果を解釈するにあたって特に気を付けておくべきでしょう。

仕事以外にも運動時間を確保してみよう!!

今回は、仕事中の運動量と心筋梗塞の発症との関連を検証した研究をご紹介しました。

結果として、仕事中の運動量は将来の心筋梗塞に影響しないことが分かりましたが、45歳以下の若年者では、荷物を持つ仕事をしているとリスクが減る可能性があることが示されました。

「座りすぎは心臓病を早めるかも!」では、日中に座っている時間が長いと、血糖や中性脂肪などといった、心筋梗塞のリスクとなる因子と関連することをご紹介しております。

おそらく、仕事中の運動量だけではなく、仕事以外の時間も見直していく必要があるかもしれません。

特に、若い方では仕事中の運動量が予防的に働くことから、できるだけ若い時期から身体を動かす習慣を身につけておくと良いのかもしれませんね。


ー紹介文献情報ー

【雑誌名】BMJ Open. 2016 Oct 3;6(10):e012692.

【筆頭著者】Johnsen AM

【タイトル】Association between occupational physical activity and myocardial infarction: a prospective cohort study.

【PMID: 27697879