生活習慣病対策からフレイル対策への転換期(食事編)

フレイル
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「食べる」ことは自身の身体を大切にすることです。

皆さんは「最近なかなか食事が食べられない…」「以前よりも体重が落ちてきた…」といったような身体の変化、気になりませんか?

年齢を重ねるにつれ、ご自身の健康に目を向ける機会が増えた方も多いのではないでしょうか。

こういった身体の変化は日々の心がけや行動によって保つことが出来ます。

自分らしく健康に生きていくためには、「食べる」ことはとても重要になってきます。

「食べる」と一言で言っても、自分の身体に合った栄養素を充分とることが大切です。

今回は、特に生活習慣病予防の食事とフレイル予防の食事についてそのポイントをお伝えします!

生活習慣病予防の食事とは??

生活習慣病とは食事や運動、喫煙、飲酒などの生活環境が深く関与し、それらが発症の要因となる疾患の総称の事を指します。

例えば、日本人の死因の上位を占めるがんや心臓病、脳卒中などが挙げられます(参考文献・参考資料①)。

過去にも生活習慣病予防のための基本的な食事のポイントをお伝えしておりますので、併せてご覧いただけると理解が深まると思います。

■ 適正体重を守って

「BMI (Body Mass Index)」という言葉を聞いたことはありますか?
「BMI」は[体重(kg)] ÷ [身長(m)2] によって算出される、肥満度の国際的な指標です(参考文献・参考資料②)。

(表:目標とするBMI 編集部作成)

65歳以上の高齢者の場合、目標とするBMIの下限は21.5と後述するフレイル予防などの理由で他の世代よりも高く設定されています。

体重の増減は身体の変化を発見するための大切な指標になるため、毎日体重を測る習慣をつけていきましょう。

また入浴前や起床後すぐなど体重を測るタイミングを一日の中で揃えられると良いですね。

適正体重よりも自身の体重が重い場合

『調理の工夫』
肉類よりも魚介類、野菜・大豆などの植物性食品を選んだり、「揚げる」「炒める」より「ゆでる」「蒸す」調理方法を選んだりすることで、エネルギー量を減らすことが出来ます(参考文献・参考資料③)。また、調理前の脂をそぎ落としたり調理中の油をこまめに拭き取ったりすることも大事なポイントです。さらに、フライパンにクッキングシートを敷いて油の使用量を減らす事もおすすめです。

『食べる時の工夫』
おかずは大皿ではなく1人分に取り分けることで自身で食べる量を把握しましょう。
また、主食となるごはんは計量し小さなお茶碗に盛り付けることで毎日の食べすぎ防止に繋がります。
適正体重よりも自身の体重が軽い場合の食事に関しては、以下の記事を参考にしてみて下さい。

■ 甘い飲み物や食べ物は、量や頻度に注意!

甘いお菓子やジュース、とても美味しいですよね!

日々の楽しみや気分転換として間食を摂っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、食べすぎや内容によっては肥満に繋がってしまうことがあります。

200kcalを目安に、1日の栄養素を補えるような物を摂取するのが理想的です。

(表:主要な食事における摂取カロリーの目安 編集部作成)

例えば、ビタミンや食物繊維を補給出来るような果物類や、日本人に不足しがちなカルシウムを補うことができる牛乳やヨーグルトがおすすめです。

間食ポイントとして、食べ過ぎないように回数や量を減らす工夫をすること、1日の栄養素の不足が補えるような内容にすることを心がけてみましょう(参考文献・参考資料④)。

フレイル予防の食事とは?

フレイルとは加齢により心身が衰えた状態、つまり健常と要介護の中間の状態を指します(参考文献・参考資料②)。

生活習慣病予防の食事を基本として、以下の二つのポイントを意識していきましょう。

■ たんぱく質を少量多品目から

たんぱく質は血液や筋肉、骨など身体の材料となる栄養素です。

しかし、年齢を重ねるにつれ、食事の量が減るにつれて筋たんぱくの合成力が低下します(参考文献・参考資料⑤)。

こちらの記事でたんぱく質の詳しい摂り方をご紹介しています!

■ 骨を強くする栄養素を摂って

「骨を強くする栄養素」と聞いてまず思い浮かべるのは「カルシウム」ではないでしょうか?

実は「カルシウム」の他にも「ビタミンD」や「ビタミンK」など意識して摂っていただきたい栄養素があります(参考文献・参考資料⑥)。

では、それぞれの栄養素の特徴を見てみましょう。

カルシウム
カルシウムは丈夫な骨の材料となる栄養素です。

また、筋肉や神経の働きをサポートするなどの働きがあります。

しかし、下に示す図から見ても分かるとおり、日本人の1日当たりのカルシウム摂取量はほとんどの世代で不足しています(参考文献・参考資料⑦⑧)。

(カルシウムの世代別の摂取量と目標値の表)

カルシウムを多く含む食品としてチーズなどの乳製品やがんもどきなどの大豆製品、骨まで食べられるような小魚や、切り干し大根や水菜などの野菜類が挙げられます。

その中でも、牛乳はカルシウムの含有量が多く、吸収率も高い食品であるためおすすめです。

1日1杯(200ml)の牛乳を飲む習慣をつけ、元気な骨を作りましょう!

ビタミンD

ビタミンDはカルシウムの吸収を促進する働きがあります。

ビタミンDを多く含む食品としてはさんまや鮭、きくらげや干ししいたけが挙げられます。

ビタミンK

ビタミンKは骨の形成を促進する働きがあります。

ビタミンKを多く含む食品として納豆や小松菜、ブロッコリーや乾燥わかめなどが挙げられます。

カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを多く含む食品を組み合わせ、効率的に骨を強くしていきましょう!

生活習慣病予防の食事とフレイル予防の食事、どちらを意識すれば良いの??

ここまで読んでいただいた方の中には「生活習慣病予防の食事とフレイル予防の食事のポイントは分かったけれど、どちらを意識すればよいの?」と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

簡単な目安にはなりますが、特に疾患のない方に向けて年齢別にご紹介します。

50歳頃から64歳の方

生活習慣病の予防と管理をしっかり行いましょう!

高齢期のフレイルを予防する上で、この時期の健康管理が大切です。

生活習慣病の予防と管理を通じて、脳卒中、心臓病、腎臓病のリスクを減らし、重症化を防ぐことがそれ以降のフレイルの予防につながります。

■65歳~74歳の方

生活習慣病の管理を適切に行いながら、フレイル予防も意識します。

■75歳以上の方

健康管理、健康づくりの重点をフレイル予防に置くべき時期です(参考文献・参考資料⑨)。

高齢期には生活習慣病予防のみならずフレイル予防も健康づくりのポイントとなってきます。なる前からの予防をし、健康長寿を目指しましょう!

身体の変化に目を向けましょう!!

身体の変化は日々の心がけや行動によって保つことが出来ます。

しかし、変化は目に見えるものばかりではなく、気付かぬ間に悪化していることさえあります。

まずは自身の身体の変化に気が付くため、毎日の体重測定はもちろん、定期的な健康診断や生活習慣の見直しを行うことが大切です。

自分らしく健康に生きていくために、普段の生活習慣を見直し、本日お伝えしたポイントを日々の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか?

【Point 1.】生活習慣病予防のために適正体重を守り、甘い飲み物や食べ物、お酒は量や頻度に気をつけよう!
【Point 2.】フレイル予防のためにたんぱく質とカルシウムを意識的に摂ろう!
【Point 3.】定期的に自身の身体と向き合い、生活習慣を見直していこう!


参考文献・参考資料

  1. 生活習慣病とは? | e-ヘルスネット (2023年12月30日閲覧)
  2. BMI | e-ヘルスネット (2023年12月30日閲覧)
  3. 調理方法によるエネルギーの違い | e-ヘルスネット (2023年12月30日閲覧)
  4. 間食のエネルギー(カロリー) | e-ヘルスネット (2023年12月30日閲覧)
  5. 筋肉をつける食べ物|日本介護予防協会 (2023年12月30日閲覧)
  6. 骨粗鬆症の予防のための食生活|e-ヘルスネット (2023年12月30日閲覧)
  7. 02_各論1-7ミネラル|厚生労働省 (2023年12月30日閲覧)
  8. 令和元年国民健康・栄養調査報告|厚生労働省 (2023年12月30日閲覧)
  9. 年齢別のフレイル予防|東京都福祉局 (2023年12月30日閲覧)