転倒リスクの高い高齢者を対象とした「高齢者向け処方箋スクリーニングツール」の有効性

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理学療法士

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【Point 1.】高齢者の転倒や転倒に伴う骨折は、普段から内服している薬による影響(副作用)によるものの可能性もある。

【Point 2.】地域在住高齢者を対象に内服薬のスクリーニングを行った結果、転倒リスクを高める可能性のある薬剤が転倒や骨折に寄与することが改めて確認された。

【Point 3.】内服薬の効能も大事であるが、どのような副作用があるのかを事前に把握するだけでも対策になるかもしれない。

高齢者における服薬と転倒

普段の生活の中で、飲まなきゃいけないお薬が多いと悩まれるかたもいらっしゃるのでは無いでしょうか。

内服薬にはそれぞれ狙いたい効果があり、きちんと目的をもって処方されるものですが、一方で様々な副作用を生じる可能性もあり、注意が必要な場合があります。

特に、高齢者は内服薬が増えてしまう傾向があり、不適切な薬剤処方は極力減らしたほうが良いと述べている専門家もいます。

今回は2025年にAge and Ageing 誌から報告された、「転倒リスクの高い高齢者を対象とした高齢者向け処方箋スクリーニングツール(STOPPFall)」の有効性についてご紹介いたします。

この研究はアイルランド高齢化縦断研究(TILDA)に参加された2898名の高齢者が対象となりました。

その結果、実に4人に1人以上 (777/2898、27%) に1種類のSTOPPFall薬が処方され、15% (421/2898) に2種類以上のSTOPPFall薬が処方されていました。

また、対象者の半数以上が追跡調査中に転倒し、5人に1人が何らかの骨折を負いました。

解析の結果、2種類以上のSTOPPFall薬の処方は、すべての転倒 (オッズ比 1.67)、負傷を伴う転倒 (オッズ比 1.53)、原因不明の転倒 (オッズ比 1.86)、すべての骨折 (オッズ比 1.59)、および股関節骨折 (オッズ比 1.75) と関連していることがわかりました。

この調査で定義されたSTOPPFallには、以下のような種類の内服薬が該当します。
・ベンゾジアゼピン
・抗精神薬
・ベンゾジアゼピン関連薬
・オピオイド
・抗うつ薬
・抗てんかん薬
・利尿薬
・血圧を下げる薬として使用されるα遮断薬
・α遮断薬前立腺肥大症治療薬
・中枢性降圧薬
・抗ヒスタミン薬
・心疾患治療薬
・頻尿・尿失禁治療薬

皆様が普段飲んでいるお薬の中で、上記に該当するものはありましたでしょうか?

ただし、上記に該当するお薬を内服していたからといって内服を自己中断せず、内服を変更・中止したいと思った場合は、必ず主治医の先生や専門家の先生の指示を仰いでからにしましょう。

また、上記のお薬を飲んでいるからといって、必ず転倒してしまうわけではありません。
用法用量を正しく守り、そのうえでそのお薬を飲むことでどのような症状の副作用が出やすいのかを把握し、未然に対策することが大切です。

例えば、利尿薬などは起立性低血圧を生じさせる可能性があり、突発的なめまいやふらつきによって転倒してしまう恐れがあります。
起立性低血圧による転倒を未然に防ぐためには、ゆっくり立ち上がる、頭を低くして腰から順番に身体を起こしていく、といった対策方法があります。

このように、ご自身の普段飲んでいるお薬の効果と副作用をきちんと把握して、ちょっとした工夫をすることが、転倒を防ぐための予防策となるはずです。

それでももし不安な方は、ぜひ主治医や薬剤師などの専門家と相談してみましょう。


ー紹介文献情報ー

【雑誌名】Age Ageing. 2025 May 3;54(5):afaf131

【筆頭著者】Yen HY

【タイトル】Internet access and use for health information and its association with health outcomes in older adults in 30 countries

【PMID: 40401340