【Point 1.】筋トレを行う際に、動作の速度を意識することでパワートレーニングとなる
【Point 2.】パワートレーニングは従来の筋トレよりも高齢者の身体機能を改善させることが示された
【Point 3.】筋トレを行う際は、速度を意識してより効果的な筋トレを心がけてみよう!
効果的な筋力トレの方法とは?
筋トレは高齢者の要介護状態への進展を予防したり、健康寿命の延伸に繋げたりする重要な取り組みの一つです。
当サイトでもこれまで筋トレを行う回数やタイミングなど、効果的な筋トレの方法についていくつかご紹介をしてきました。
これに加えて近年では、パワートレーニングという筋力トレの方法があります。
これは筋肉の求心性収縮(重りを持ち上げる動作、筋肉を縮める動作)を「すばやく」、遠心性収縮(重りを下げる動作、筋肉を引き伸ばす動作)を「ゆっくり(2~3秒程度)」行う速度を意識した筋トレです。
スクワットで例えると、しゃがみ込み動作をゆっくり行い、立ち上がり動作をすばやく行うことになります。
Balachandran ATらはパワートレーニングと従来の筋力トレの身体機能に対する効果の比較をJAMA Network Open誌で報告しています。
この研究はシステマティックレビュー・メタ解析という研究の質が高い手法で行われ、平均年齢が60歳以上の地域在住高齢者に6週間以上の介入を行ったランダム化比較試験が解析に含まれました。
その結果、パワートレーニングは従来の筋力トレよりも椅子立ち上がりテストやTimed Up and Goテストといった、筋力を必要とする身体機能が改善することが明らかになりました。
一方で、歩行速度やバランス機能、筋肉量などは効果に差を認めませんでした。
注意すべき点として、この結果はパワートレーニングと従来の筋力トレを比較した結果であり、運動を行わない方々との比較は行っていないという点です。
そのため、運動習慣のない方は日常生活に習慣的な運動を取り入れるだけでも効果が得られるかもしれません。
その上で、すでに運動習慣のある方も筋トレを行う際には「速度」を意識して行うことでより効果を得られる可能性がありますので、心がけてみましょう。
ー紹介文献情報ー
【雑誌名】JAMA Netw Open. 2022 May 2;5(5):e2211623.
【筆頭著者】Balachandran AT
【タイトル】Comparison of Power Training vs Traditional Strength Training on Physical Function in Older Adults: A Systematic Review and Meta-analysis.
【PMID: 35544136】
参考文献・参考資料